「バッテリーゲート」の記憶がAppleを悩ませ続けている。よく覚えていない人のために説明すると、「バッテリーゲート」とは2016~2017年に起きた問題で、Appleが「iPhone」の性能を抑えてバッテリーの持続時間を伸ばす機能を密かに「iOS 10.2.1」に追加していたというものだ。
この機能には予期せぬ副次的影響もあり、寒い日やバッテリー残量が少ない場合に端末が再起動してしまうという問題も生じていた。
この機能は、まず「iPhone 6」「iPhone 6s」「iPhone SE」に提供された後、「iPhone 7」「iPhone 7 Plus」「iPhone 8」「iPhone 8 Plus」「iPhone X」でも提供されていた。
今回英国で多額の損害賠償を求める訴訟を起こしたのは、消費者権利活動家のJustin Gutmann氏。同氏は、Appleが意図的にユーザーを欺き、バッテリーのリコールや交換プログラムを提供するのではなく、この機能をリリースして、古いiPhoneのバッテリーが新しい電力要件に対応できない事実を隠したと主張している。
「顧客に対して良心的な法的対応をとって無料交換、修理サービス、または補償を提供する代わりに、Appleは、端末の動作を最大58%遅くするツールをソフトウェアアップデートにしのばせることによって、ユーザーを欺いた」と、Gutmann氏はThe Guardianに語った。
「英国の膨大な数のiPhoneユーザーが、Appleの行為によって被った損害に対する賠償を受け取れるように、私はこの訴訟を提起する」(同氏)
Appleは米国時間6月16日、「当社はこれまでも今後も、アップグレードを促すために意図的にApple製品の寿命を縮めたり、ユーザー体験を損ねるようなことは決してない」「当社の目標は常に、顧客に愛される製品を作ることであり、可能な限り長くiPhoneを使い続けられるようにすることは、この重要な一部だ」とコメントした。
この訴訟でAppleが敗訴した場合、同社は7億5000万ポンド(約1240億円)を超える損害賠償金を、影響を受けたiPhone購入者2500万人に支払うことを求められる可能性がある。
なお、Appleは今回と同じ問題をめぐる米国の集団訴訟で、2020年3月に和解金として、iPhone1台につき25ドル(約3400円)、計3億1000万ドル(約420億円)を支払うことに合意していた。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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