KDDI、東急、みずほリサーチ&テクノロジーズ、渋谷未来デザインで組織している「バーチャルシティコンソーシアム」は4月22日、メタバース/都市連動型メタバース業界の発展に向けて策定した「バーチャルシティガイドライン ver.1(PDF)」を公表した。
このガイドラインは、経済産業省と渋谷区をオブザーバーに迎え、バーチャル渋谷の運営や実在都市のまちづくり活動に携わる事業者および専門家での議論と、それぞれの持つ知見をもとに、メタバース/都市連動型メタバース設立、運用時の注意点や検討項目を明文化したもの。
スマートフォンの登場以後、インターネットと人とが繋がっている時間は増加。さらにインターネットの表現力が飛躍的に向上したことによって、仮想空間を3Dで表現し、アバターを活用したコミュニケーションも楽しめるようになった。こうした「メタバース」と呼ばれる仮想空間での活動時間も増えていき、リアルよりもオンラインでの活動時間を上回るようになるものと想定される。同時に、「Web3」と呼ばれる、トークンやNFTなどのブロックチェーン技術や、それらを使ったサービスが融合されることにより、メタバースで生みだされる経済圏にも注目が集まっている。
KDDI、渋谷区観光協会、渋谷未来デザインらによる「渋谷5Gエンターテイメントプロジェクト」が2020年5月に発足した。その一環として、デジタル空間上に“もうひとつの渋谷”となる、渋谷区公認の配信プラットフォーム「バーチャル渋谷」を作り、都市連動型メタバースとしてバーチャルイベントプラットフォーム「cluster」を通じて展開したところ、累計100万人の利用があったという。
発展途上であるメタバースには、現行法において法的に保護される知的財産権の対象とならないデジタルアセットの所有権やアバターの肖像権などの「バーチャル・プロパティ」、プラットフォーム間の相互運用性など整理すべき論点が多数あるという。
説明会で登壇した、バーチャルシティコンソーシアム代表幹事であり、KDDI 事業創造本部副本部長の中馬和彦氏は、ガイドラインのベースとしてあるバーチャル渋谷での展開があったからこそ得られた事例をもとに議論を重ねてきたとし、「これまでは“プレメタバース”の状態であったが、ここからさらに“メタバース”に向けて進化していく、そのための議論を行った」と語る。
ガイドラインを策定するにあっては、都市連動型メタバースの存在意義や重要視する行動規範や考え方の指針を提示するものとして「バーチャルシティ宣言」を公表。これを踏まえたガイドラインの主要トピックとしては、メタバース領域全般において「クリエイターエコノミーの活性化」「UGC(User Generated Contents)の著作権」「アバターの保護」「アバターの肖像権とパブリシティ権」「バーチャル・プロパティ」を挙げ、加えて都市連動型では「実在都市の景観の再現性・改変」「『公共性』の考え方」「実在都市との連携・商流の整理」があるという。
中馬氏は、今回にバーチャルシティ宣言に基づいたガイドラインについて「あくまでも提言ではなく、課題提起」としており、日本がメタバース業界で発展していくために、整理すべき課題事項をフレームワークとしてまとめたものと説明。2022年3月に設立されたMetaverse Japanとも連携し、他団体とも情報共有や議論も重ねていきたいとしている。今後については、2022年の1年をかけて、提起した課題に対しての具体的な対策について説明できるよう、提言ができるまでに高められればと語った。
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