“社内外の「知の結集」で生み出すイノベーション”と題して、朝日インタラクティブがオンラインで開催した「CNET Japan Live 2022」に2月24日、自治体としてフードテックに着目する先進県として注目される愛媛県が登壇した。
愛媛県 経済労働部産業支援局経営支援課地域産業係長の田窪直文氏が、フードテックによる地域経済活性化を目指した取り組みの現状と将来像、課題などを県内企業の事例と併せて紹介した。
愛媛県の県内にはさまざまな優れた産業、農水産物、歴史、文化が存在するが、全国でも地域資産に注目する動きが加速しており、競争が激化している。愛媛県全体の数字を見てみると、人口、農業算出高、製造品出荷額などは全国で中位ぐらいだが、海面養殖の産出額は661億円と全国1位である。産業構造は、地域により東予、中予、南予の3つに分かれる。
東予は日本屈指の高い技術力や製品を有するものづくり企業が集積し、有名な今治タオルや製紙・紙加工では日本一の製造品出荷額を誇る。中予は3次産業が集積し、南予は日本有数の柑橘、真珠、養殖の産地というように、それぞれ特徴がある。
いろいろな産業支援が考えられる中で、愛媛県は食のイノベーションイノベーションを創出するフードテックに注目し、企画立案と施策を進めている。ここで定義するフードテックは、食とテクノロジーの融合で起こるイノベーションの総称であり、生産から廃棄まで食に関する幅広い商品・技術が含まれる。
食に関する社会課題というピンチをチャンスに変えることで、県内企業の産業力強化と雇用創出を目標に掲げた。社会課題として、食糧需要の拡大、食糧生産の減少、価値観の多様化、安全意識の高まり、担い手の人材不足という5つを挙げ、「フードテック先進県」で培われた実績と技術力による、課題解決のイノベーションを創出するのが狙いだ。
具体的には、高品質な加工食品開発では農商工連携事業や商品開発で329件の実績がある。機能性表示食品、乳製品、養殖飼料などの開発では大手食品メーカーとは異なる強みを持っており、ドローンを活用したスマート農業および、自動給餌機の活用で輸出力を強化するスマート養殖なども進めている。モノづくり企業のニッチな技術力を活かした農業ロボット、食品加工自動化、全国屈指の植物工場研究を行う愛媛大学のフードテックとの連携、IT系人材育成では愛媛県の創業コンテストに参加する地元企業らと共に力を入れている。
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