リンクアンドコミュニケーションは1月27日、AI健康アドバイスアプリ「カロママ」に搭載されている食事の画像認識技術により推定された栄養素および、食品群含量が、どの程度正確に推定されているかの妥当性を検証したと発表した。
昨今、さまざまな健康アプリが開発・提供されており、特に簡単に食事が記録できる画像認識技術が搭載されたアプリは、栄養素や食事量を測定するためのツールとして期待されている。しかし、画像認識技術がどの程度の性能なのかは、十分に評価されていないことが多い。
同社が提供するカロママは、ユーザーが入力した食事や運動などのライフログデータをもとに、よりパーソナルなアドバイスをAIが提供する健康維持・増進を促進するアプリ。
同アプリにも食事画像認識技術が搭載されているが、同技術を活用した健康づくりを推進するためには、どの程度正確に栄養素や食品群含量が推定できるのかを科学的に検証する「妥当性研究」が必要だと考え、検証することになった。
同検証においては、東邦大学 医学部 社会医学講座衛生学分野の朝倉敬子准教授が監修した。なお、120の食事献立(食事データベースに登録されている、栄養素や食品の含量がわかっている料理)を用意し、これを比較基準としている。
比較基準を100%とした時の自動推定データ(画像認識機能で判定したデータ)と、手動修正データ(画像認識機能で判定した後、アプリに予め登録されているメニューデータベースを用いて手動で修正したデータ)の、それぞれの割合を算出した。
その結果、従来の食事調査方法と比較し、ほぼ同等レベルであることが立証された。同社によると、日常的に使われる健康アプリとして、食事画像認識技術で複数の栄養素・食品群含量が推定できるかを科学的に検証したのは同アプリが初になるという。
具体的には、各種栄養素について、比較基準と比べた際の栄養素含量の推定誤差は、自動推定データでマイナス25〜プラス4%。手動修正データでマイナス11〜プラス13%と、自動推定データ・手動修正データともに比較基準に近い値が得られた。
また、検討した15の食品群のうち、自動推定では4食品群(27%)が、手動修正では10食品群(67%)が、統計学的な検定を行うと、比較基準に近い値をうまく推定できていたという。
なお、従来の食事調査法で食品群摂取量を見積もり、妥当性を検討した研究では40〜50%程度の食品群をうまく推定できたという結果もある。
その結果と比べると、同アプリの自動推定・手動修正の妥当性は劣らず、特に手動修正データではうまく推定できていると考えられる結果となった。
今後は、今回の検証で用いた献立以外でも栄養素・食品群含量をうまく推定できるかを検討・検証を重ね、より正確な判定ができるよう画像認識機能の向上に努めるとしている。
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