Beats by Dr. Dreが3モデル目の完全ワイヤレスイヤホン「Beats Fit Pro」を発売した。スポーツ向けの「Powerbeats Pro」、コンパクトサイズの「Beats Studio Buds」で培ったノウハウをいかし開発したBeats Fit Proは、安定して長時間使える完全ワイヤレスイヤホンを目指したという。その開発の裏側をBeats by Dr. Dreに聞いた。
1月下旬に発売されたBeats Fit Pro(税込価格:2万4800円)は、新開発のウィングチップが目を引く特徴的なデザインだ。アクティブノイズキャンセリング、外部音取り込みモード、アダプティブイコライゼーションと3つのリスニングモードを備え、片耳5.6gのコンパクトボディに多機能と高音質技術を凝縮する。
特徴的なウイングチップは開発に18カ月を要したという。「この形状に至るまでには何千人もの耳をスキャンしてテストを繰り返した。フィット感はイヤホンにとって非常に大きな課題。どういう形にすればいいのか、多くの耳にフィットするにはどうすればいいのか非常に苦労した」と話す。
徹底した装着感のテストから生み出されたウイングチップは、ワンサイズ、取り外しなしという形で採用。これはBeats by Dr. Dreの「最適なウイングチップが作れた」という自信の裏付けでもある。「同様の形状を採用したイヤホンは存在しているが、複数のサイズを同梱し、取り外し可能なものがほとんど。しかし、それではユーザー側がどのサイズがいいのかに迷い、本当に最適な形を理解せずに使用してしまう可能性がある。Beats Fit Proはイヤホンとの一体型にすることで、最適な形を選ぶ必要なく使用していただける」と説明する。
ウイングチップは硬質な素材の軸の周囲に柔らかな素材を配することで快適な装着感を追求。イヤーフックタイプのPowerbeats Proには、ワイヤーを採用しているが、今回はワイヤーなしでも同等の耐久性を確保しているという。
「Powerbeats Proはイヤーフックタイプにすることで、スポーツ時にも使える安定した装着感を実現したが、もう少しコンパクトになるといいという声をいただいた。一方、コンパクトタイプの『Beats Studio Buds』を発売したことで、高音質と長時間バッテリを備えると長時間使ってもらえることがわかった。Beats Fit Proは、Powerbeats Proの安定した装着感を受け継ぎつつ、Beats Studio Budsのコンパクトさと長時間再生機能を搭載した、ちょうど中間的なモデル」と位置づける。
そのため、ANC/外部音取り込みモードがオンの状態で最大駆動時間が27時間、片方のイヤーバッドで最大6時間、ケースを使用すれば21時間の再生が可能。5分の急速充電で1時間の再生ができる「Fast Fuel」機能も備える。
本体には「H1チップ」を搭載。アップル製品との高い親和性を確保しつつ「デザインや音質は『AirPods』とは大きく異る」と明確に差別化する。「サウンドプロファイルを進化させている。形状面も音に大きく作用しており、大きめのドライバを搭載するPowerbeats Proは低域が強めだが、Beats Fit Proは低域を少し控えめにし、洗練された音に仕上げた。イヤホン部にはノズルの近くにレーザーで穴を開け通気孔を備えており、この通気孔が空気の流れを最適にし、驚異的なダイナミックレンジを実現。あらゆる音楽にマッチする音質を実現できた」と説く。
加えて、「ニーズにあわせて搭載した」という3つのリスニングモードについては、「アクティブノイズキャンセリングは、1秒間につき信号を約200回調節している。外部音取り込みモードとワンタッチで切り替えができ、自然なリスニング体験を実現できたと思っている。アダプティブイコライゼーションは、アクティブノイズキャンセリングと外部音取り込みモードをオフにすると有効になり、耳の形に合わせて音が調整されるというもの。どんな状況においても一貫して素晴らしいリスニング体験ができるようになっている」と高性能さにも自信をのぞかせる。
「Beats Fit Proは通話機能も重視した。新たなマイクを搭載したことに加え、音声感知センサーと加速度センサーを搭載。独自のアルゴリズムから自然な通話をサポートしている」と、コロナ下で需要が増したオンライン会議や電話の応対といったビジネスシーンでの活用にも目を向ける。
本体にはダイナミックヘッドトラッキングによる空間オーディオにも対応。「動画を視聴するときにもぜひ使ってほしい」と、Beats Fit Proは音楽、動画、ビジネスシーンと24時間使える完全ワイヤレスイヤホンに仕上がっている。
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