ドローンによる各種サービスを手がけるスウェーデンのEverdroneは、自動体外式除細動器 (AED) をドローンで緊急搬送した結果、心停止した人の救命に貢献できたと発表した。自律飛行するドローンが心停止患者の命を救ったのは、これが世界初だそうだ。
この事例は、ドローンを使ったEverdroneの救急サービス「Emergency Medical Aerial Delivery(EMADE)」によるもの。2021年12月9日、スウェーデンのトロルヘッタンにある自宅で雪かき中に倒れて心停止状態に陥った71歳男性のもとへ、AEDをドローンで届けた。
倒れている男性を発見したのは、近くの病院へ出勤途中だったある医師。同医師は脈拍がないことを確認すると、すぐ心肺蘇生法(CPR)を開始し、周囲の人に救急通報するよう依頼した。すると、通報から3分強で救急隊よりも先にドローンが到着し、AEDを使えたという。最終的に、男性は病院へ搬送され、一命をとりとめた。
Everdroneによると、病院以外の場所で心停止(OHCA)を起こす人の数は、欧州で年間27万5000人、米国で35万人いる。そして、心停止した場合、生存率は1分ごとに7%から10%低下していく。OHCAを起こした人の約7割はAEDのない自宅などで倒れるため、救急車の到着に時間がかかるといった要因で、最終的な生存率は10%程度にとどまるという。
Everdroneはこの状況を改善するため、EMADEを開始。2020年6月から9月の4カ月間実施したところ、ドローンが救急車の到着前にAEDを届けられたケースは64%あった。
現在Everdroneは、スウェーデンで20万人を対象にEMADEを運用している。2022年中に、欧州各地でも提供する計画。
取り組みの紹介ビデオ(出典:Everdrone/YouTube)
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