Meta(旧Facebook)はメタバースで何を目指すのか--担当VPに聞く(2) - (page 2)

Scott Stein (CNET News) 翻訳校正: 編集部2021年11月17日 07時30分

——特にInstagramでは、ユーザーがサービスから悪影響を受けるケースが発生しています。こうしたトラブルや悪影響について、もっと透明性のある対応をするために何ができますか。

 これから登場する規範が1つの解決策になると思います。その意味で、私が今、特に時間をかけて考えているのは、アバターやアイデンティティー、表現、デジタル空間での自己表現に関する問題です。例えば、仕事の場面では実際の自分と同じ姿をオンラインでも見せたいと考えるかもしれません。しかしソーシャルプラットフォームで友達と遊ぶときは、ドラゴンになりたいと思うかもしれない。それは当然の発想です。

 一方、自己表現、つまり、自分をどう表現するかという点では、人々は人種や地政学上の課題といった現実的な問題を抱えています。こうした問題は実社会に深く根ざしており、その影響がデジタルの世界にも及んでいるのです。こうした問題が、新たな体験の中でどう展開していくのかはまだ分かりませんが、1つ言えることは、この問いを今投げかけなければ、私たちは将来、必ず後悔するということです。

 あなたの質問には、こう答えてもいいかもしれません――私たちが解決しようとしている問題のすべてについて、私がすでに完璧な答えを持っていたら、それはつまらないのではないか、と。しかし、今、この問いを投げかけなければ、あなたもがっかりするに違いありません。

——Horizon Worldsは長い間プライベートベータの状態にあります。サービスの本格展開に向けて、問題を探求できる安全な空間を作りたいと考えていますか。問題を解決できるまでは、限定的なサービスとする予定ですか。

 戦術的に言えば、一部のサービスはそうした発想の下で発展してきました。クローズドベータを通じて、問題を学んできたということです。その一方で、ある程度規模が大きくならなければ、見えてこないユースケースもあります。規模が小さいと、学べることに限界があるのです。ですから、両方の要素が入り混じることになると思います。

 あなたは私が、おそらくは世間の評価以上に、この分野に強気でいる理由をお聞きになりたいのではありませんか。それは、私たちが「何を質問すべきか」を知っているからです。同時に、私たちは「自分たちはまだ知らない」ということも知っています。私たちが今回、投げかけなければならなかった質問は、15年前には予想もつきませんでした。予期できたものもあるかもしれませんが、すべてではありません。これから明らかにしていかなければならない質問もあります。会社として、私たちが間違いなく学んだことは、「何とかなる」と高をくくって、問うべき質問も問わずに新しいことを始めるべきではないということです。

——未来の空間では、アバターとフィルターのはざまで、人々のアイデンティティーは変わり続けることになるのでしょうか。現在のVRでは、どちらかと言うとアバターに重点が置かれているように見えます。今後はもっと流動的になるのでしょうか。個人が複数のアイデンティティーを持つこともあり得ますか。

 場所やスペース、本人の意図に合わせて、1人が複数のアイデンティティーを持つこと、もっと言えば、1つのアイデンティティーを複数の方法で表現することは十分にあり得ると思います。自分の外見、自分をどのように見せたいかは、自己表現の1つです。現在、当社が提供しているアバターシステムでは、私の服装は1種類だけです。でも実生活では、毎日、同じ服装をすることはまずありません。Mark(Zuckerberg氏)はそうしていますが、私は違います。ですから、個人的にはいろいろなアイテムを身につけられる機能がほしいですね。そういう機能すら、現在の当社のエコシステムには存在しません。この点については、解決方法はいろいろあると思います。

 一方、まだ答えが見えないのは、新たな空間にどのような規範が登場するかです。例えば、特定の空間に来るときは所定の姿でなければならないというルールができるかもしれません。選択権が本人にあるのか、クリエイターや管理者に一部の権限が委ねられるのかはまだ分かりません。今後の展開はまだ不透明ですが、私自身は場所によって自分の見せ方を変えることはできるし、そうすべきだということが重要だと思っています。

 最終回に続く。

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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