アドビは10月27日、サブスクリプション形式のフォントライブラリ「Adobe Fonts」において、複数の日本語フォントを追加したと発表した。
今回追加したのは、同社のタイプチームが開発する「ヒグミン」と、毛筆フォントメーカー「昭和書体」の「黒龍爽」と「心龍爽」、大日本印刷の「秀英にじみ初号明朝」と「秀英にじみ明朝」、Font1000のフォント34種。
新書体となるヒグミンは、画家のヒグチユウコ氏が描いた手書き文字をもとに、同社のプリンシパルデザイナーである西塚涼子氏がデザインしたオリジナルの書体。同社がリリースするオリジナル日本語フォントとしては、3年ぶりの追加となる。
リボンや草むら、キノコなどのイラストに近いカラーグリフが搭載されているのが特徴。また、各文字には異体字が多数搭載されており、OpenType機能の「前後関係に依存する字形」を選ぶことによって、異体字に自動的に切り替えることが可能。
同社では、広告や本のタイトル、見出しなどでの利用を想定する。
ただし、漢字が含まれていないため、合成フォントとして最適に利用できるようにヒグミン スムーズとヒグミンにじみに加え、秀英にじみ明朝と秀英にじみ初号明朝の4フォントをセットにしたフォントパック「ヒグミンフォントパック」も用意する。
Adobe Fontsの新パートナーとなった昭和書体は、直筆の筆文字をフォントにして販売しており、人気アニメ「鬼滅の刃」などで採用(闘龍、陽炎、黒龍)されていることで知られている。
今回、カスレなどを極力少なくすることでシンプルなラインを実現し、容量を低く抑えた書体の黒龍爽と心龍爽(もとは、黒龍と心龍)の2書体をAdobe Fontsへと提供する。
大日本印刷がAdobe Fontsにライセンス提供するオリジナル書体「秀英体」ファミリーには、秀英にじみ明朝、秀英にじみ初号明朝の2書体を追加した。
同社は、明治時代から1世紀以上にわたって開発する秀英体が、印刷した紙の上でどのように表現されているかを細かく分析。その結果を「にじみ効果」として付与する専用プログラムを独自開発したという。
新たに追加した秀英にじみ明朝は、書体「秀英明朝」に対して同プログラムを活用。自然なにじみ感が出るように調整した、にじみシリーズの第1弾書体となる。
秀英にじみ初号明朝は、見出し用書体である「秀英初号明朝」に対してにじみ効果を付与した、にじみシリーズの新ラインアップ。書籍、ポスター、ウェブサイトのタイトルや小見出しなど、大きな文字サイズで映えるように、にじみ効果の「太らせ量」や「ゆらぎ量」などを調整しているという。
加えて、秀英にじみ初号明朝は、新書体のヒグミンと連動させて、「太らせ量」や「ゆらぎ量」を調整しており、ヒグミンの仮名と組み合わせる漢字書体としての利用も推奨している。
なお、Adobe Fontsは、「Adobe Creative Cloud」のユーザーなら、追加料金なしで利用できる。Adobe Creative Cloudの契約者でなくても、Adobe IDを取得(Creative Cloud無償 メンバーシップ)することで利用可能。
Adobe製品だけでなく、WordやExcelなどのビジネスアプリや、iPad、iPhoneなどのiOS端末でも利用できる。
同社によると、今回の追加により日本語フォントは500以上になったという。
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