SkyDriveは10月22日、大阪港中央突堤で大阪府、大阪市、大阪商工会議所で構成する「実証実験推進チーム大阪」の支援による海上飛行試験を公開した。
同社は、2025年に大阪で開催する大阪・関西万博に向けて、開発中のeVTOL「空飛ぶクルマ」によるエアタクシー事業の実現を目指している。
試験内容は、ポートの設置を予定している港湾エリアから海上に向けて、同社が市販する物流向けドローン(カーゴドローン)の「SkyLift」を約3分間自律飛行させるというもの。機体の飛行性能を確認するとともに、飛行中の海風の影響やバッテリー消費量、本番での飛行ルート設計や充電頻度といった、空飛ぶクルマの開発に活用するデータ収集を行った。
本実証実験は、大阪府が公募した「空飛ぶクルマの実現に向けた実証実験」の補助金が交付されており、ポートの設置や動力源の提供などで協力する大林組、関西電力らと共同で進めている事業性調査の一環として行われている。
空飛ぶクルマに対する市民の関心度を調査するため、事前に応募があった人たちにも実験を公開。試験会場に近い天保山マーケットプレイスでは、有人飛行の試験機「SD-03」や、今後の取り組みを紹介するパネルなどを展示し、エアタクシー事業に対するアンケートを2日間にかけて実施した。調査結果については、大阪府が設置する「空の移動革命社会実装大阪ラウンドテーブル」で共有される予定だ。
SkyDrive代表取締役CEOの福澤知浩氏は、中心となる空飛ぶクルマの開発スケジュールについて、2023年には試験飛行を開始し、実用化は2025年を予定していると述べた。空飛ぶクルマは、2022年に法規制が変わることが予定されており、実用が一気に加速する可能性がある。SD-03は2020年8月に有人飛行試験を成功させているが、次回の実施はしばらく予定しておらず、さらなる機体の飛行性能と安全性を高めることに集中するという。なお、カーゴドローンは販売を開始しており、市場の反響も高まっているようだ。
空飛ぶタクシーは、海外ではすでに実用化が開始しており、機体の開発や運用、サービスの設計に関しても競争が激化している。そうした中で、最も大きな壁となる安全に対する信頼性と運用ルールの確立をどのように進めていくのか。今後の動きにも注目していきたい。
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