「Windows 11」にかけるマイクロソフトの意気込みとさまざまな改良点

Liam Tung (ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部2021年10月13日 07時30分

 Microsoftの新OS「Windows 11」が先週、ついに無料でダウンロードできるようになった。Microsoftの最高経営責任者(CEO)、Satya Nadella氏はWindows 11について、人々が夢を叶えるのを助ける「新世代Windows」の始まりだと語り、最高製品責任者(CPO)であるPanos Panay氏は「PCの新時代」が始まるとした。

 Windows 11は「Windows 7」以来の大規模なアップデートには違いないが、新たな現実をはっきり反映してもいる。つまり、WindowsはMicrosoftにとって、「Microsoft Office」、「Teams」、「Azure」クラウドプラットフォームなどの、多くの製品の中の1つにすぎないということだ。

 現実がどうであれMicrosoftは、共同創業者のBill Gates氏が「Windows 1.0」を発表してから約38年後の、この新しいWindowsの登場を祝うべきだろう。

 Microsoftはこの1年、新機能や再設計したユーザーインターフェースを「Windows Insider」のメンバーとともにテストしてきた。「Windows 10」バージョン2004以降のユーザーは、Windows 11に無料でアップグレードできる。だが、比較的新しいハードウェアである必要がある。自分のPCがアップグレードのハードウェア要件を満たしているかどうかは、Microsoftの改訂版「PC正常性チェックアプリ」で確認できる。あるいは、Microsoftの新しい「Surface」シリーズを購入してもいいだろう。2in1の「Surface Pro 8」やArmベースの「Surface Pro X」、手頃な価格の「Surface Go 3」などがある。

 Nadella氏は当然ながら楽観的だ。Windows 11の登場に当たって、同氏は「Windows 11は、Windowsの新時代の始まりを示し、誰もが大きな夢を見て、アイデアを実現するのを容易にする。皆さんが創り出すものを見るのが待ちきれない」と書いた。

 Microsoftは、Windows 10をリリースし、ソフトウェアとサービスのローリングアップデート方式を導入した際、Windows 11は必要ないと示唆した。だが、この考えが放棄されたのは明らかだ。この「Windows 10を永遠に」という考えを放棄したことに加え、Windows 11のリリースは、「Windows 10X」の廃止という5月の決定に続くものだ。Windows 10Xは、Googleが提供する人気の安価な「Chrome OS」デバイスに対するMicrosoftの対抗策になるはずだった。

 PCがもはや、多くの人が使う主要なコンピューティングデバイスではないことは明らかだ。スマートフォンとタブレットを選ぶ人が多い。それでも、PCは驚くほどの粘り強い人気を示した。また、ここ数年でWindowsはクラウド製品のAzureと「Office 365」「Microsoft 365」にやや後れを取ってはいるが、完全に無視されているわけではない。Panay氏が8月に上級管理職チームに昇格したことで、Windowsも引き上げられた。

 米ZDNet向けに記事を執筆するMary Jo Foley氏が当時記したように、Windowsの元責任者、Terry Myerson氏が2018年に辞任して以来、Windows事業部には上級管理職のリーダーがいなかった。

 Panay氏はWindows 11のリリースを伝える同社の公式ブログで、「Windows の歴史における記念すべきマイルストーン」だと語り、最大10億人のWindowsユーザーの創造性を高めるというNadella氏の主張を熱く支持している。

 「Windows はイノベーションの原動力」であり、「私たちが創造性を発揮するための永続的なプラットフォーム」だとPanay氏は綴っている。

 ASUS、HP、レノボはWindows 11搭載の新モデルを発売し、Acer、Dell、サムスンも間もなく発売する。

 Panay氏は「Windowsのエコシステムは、他にはない拡がりと規模を誇り、クリエイター、開発者、学生、教育者、ビジネスマン、ゲーマーなど、さまざまな人々のニーズを、あらゆる価格帯、あらゆる形状で満たします」と述べる。

 Panay氏は「スタート」メニューについて、重要なコンテンツやアプリに素早くアクセスできる場であり、クラウドとMicrosoft 365(別売)を活用して、「Android」デバイスや「iPhone」を使っていた場合でもWindows 11で最近のファイルを閲覧できると説明した。また、ウィジェットは「ガラスのように」画面上をスライドし、パーソナライズされた情報を提供するとしている。

 「OutlookのカレンダーやTo-Doリストで1日の流れを確認したり、最新のニュースや明日の天気予報をチェックしたり、OneDriveで思い出の写真を見たりなど、ウィジェットによって好きなものにすぐにアクセスできます」とPanay氏。

 「Microsoft Teams」のチャットボタンも目を引く変化だ。これは「Skype」の「今すぐ会議」ボタンを置き換えるものだ。Skypeは最近更新されたが、Windows 11のボタンとしては提供されない。Teamsチャットボタンは、Teamsの簡易版を提供する。

 Windows 11の「Microsoft Store on Windows」もアップデートされた。だが、「Amazonアプリストア」のAndroidアプリとゲームはまだ利用できない。Microsoftによると、AmazonとIntelとの提携により、近くWindows Insiderのメンバーはプレビュー版でAndroidアプリとゲームを利用できるようになるという。

 Windows 11には、特に広いディスプレイ向きの新機能、「スナップレイアウト」「グループ」「デスクトップ」もある。音声入力機能も強化された。

 「WebView2」や「Windows App SDK」「WinUI 3」を使ってWindows 11向けアプリを提供したい開発者にとってのメリットもある。Microsoftは公式ブログでその詳細を説明した。

 Windows 11でのゲーミングの強化としては、HDRディスプレイのレンダリングの改善や、「Xbox」端末で採用された「DirectStorage」技術への対応などがある。DirectStorageは、NVMe SSDおよび「DirectX 12 GPU」と組み合わせることで、対応するゲームのロード時間を短縮する。また、Windows 11にはXboxのアプリが最初から組み込まれている。

 MicrosoftはWindows 11の公式リリースに先立ち、スタートメニュー、タスクバー、ウィジェットなどの呼び物になる機能のバグを急いで修正していた。

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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