Steve Jobs氏が2011年10月5日に亡くなってからの10年で、Appleは、「iPhone」と「Mac」「iPad」などにより、地球上で最も価値のある企業の1つへと成長した。現在では、10億人以上の人々が日々の生活で同社のテクノロジーを利用している。
1997年の状況と比べると、かなり大きな変化だ。当時、倒産の瀬戸際にあったAppleに暫定最高経営責任者(CEO)として復帰したJobs氏は、助けを求め、MicrosoftとBill Gates氏から1億5000万ドルの出資を受けたのは、有名な話だ。そして、Jobs氏は、Microsoftの「Internet Explorer」が、当時人気の高かった「Netscape Navigator」ブラウザーを打ち負かせるよう、力を貸した。しかし、Jobs氏がMichael Dell氏と同氏の名を冠したPC企業のDellとも提携しようと画策したことは、それほど知られていない。もしその提携が成立していたら、Appleの進路とテクノロジーの歴史は永遠に変わっていたかもしれない。
先頃発売された、「Play Nice But Win」という回顧録の中で、Dell氏は10代の頃に「Apple II」に夢中になったことや、10歳年上のJobs氏にコンピューターユーザーグループで出会ったこと、さらには、結局実現しなかった提携について語っている。Jobs氏は、DellにMacのOS「Mac OS X」のライセンスを供与し、同社の低価格で人気の高いIntelベースのPCに同OSを搭載して出荷させることを望んでいた。メディアは両氏が最大のライバルであるかのように伝えていたが、Dell氏によると、同氏とJobs氏は親しい友人関係にあったという。Dell氏はJobs氏について、優秀な起業家、経験豊かなマーケター、夢想家、そして、歴史に残る企業の復活劇の1つを主導し、スマートフォンを含むさまざまな家電製品の普及に貢献した理想主義者と評している。
「驚異的な偉業を成し遂げようとする人は誰でも、他者と多少異なる型破りなアプローチをとらなければならない」。インタビューでJobs氏が遺したものについて尋ねると、56歳のDell氏は、そう語った。「ルールにとらわれたままでは、驚異的な偉業を成し遂げることはできない。その点で、Steveは間違いなく非常に優れていた」
Dell氏がテクノロジーに興味を持ったのは子供の頃で、父親の計算尺や加算器で遊んでいたと、同氏は筆者に語ってくれた。「当時の加算器はローラーが回るときにとても心地良い音がした」という。その後、まだ8歳のときに、National Semiconductorの計算機を手に入れた。「私は数学が大好きだったので、計算をする機械という概念に大きな魅力を感じた」(同氏)
テキサス州ヒューストンにある公立中学校で数学の授業を受けていたとき、偶然にも、その学校にはテレタイプ端末があった。「自分にとって、プログラムを書けるというのは、本当に素晴らしいことだった。それはパソコン時代の幕開けだった」とDell氏。「自分のコンピューターを手に入れて、プログラミングができるという概念は、私にとって考えられる最もクールなことだった。それがきっかけとなって、この分野に足を踏み入れた」
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