マップボックス・ジャパンは8月24日、地図サービスに最適化した独自の広告プラットフォーム「Mapbox広告プラットフォーム」を活用し、国内で地図サービスを提供する7社と広告配信で連携する「マップアドネットワーク」を設立したと明らかにした。
マップボックス・ジャパンは、2020年3月に米Mapboxとソフトバンクの合弁会社として設立。地図情報サービスの開発プラットフォームを提供しており、同プラットフォームはヤフーの「Yahoo! MAP」やPayPayの「PayPay」アプリ内などで採用されている。
既存の地図広告は、地図サービスとの相性は極めて悪く、ユーザにとっては邪魔な存在、広告主にとっては効果のない投資、開発者にとっては不本意な実装となっているという。同社バイス・プレジデントの山崎友敬氏は、現状で地図に特化した広告技術がないことを挙げ、ウェブサイトのバナーなど、ほかのメディア向けの広告技術を地図広告に適用していると現状を指摘する。
それらの現状を踏まえて開発された「Mapbox広告」は、ユーザー、広告主、開発者のどの立場においてもフレンドリーなものをめざし、収益化に貢献するという。同サービスは2021年7月からベータサービスを提供している。
具体的には「地図デザインを邪魔しない」表示、行き先などに応じて広告内容を変動させる「利用シーンと連動した広告表示」、昨今のデジタルツイン化による3Dの建物データを活かした「バーチャル空間の活用」、スマートグラスや自動車のHUD(ヘッドアップディスプレイ)に代表されるAR対応の新デバイスにいち早く対応するなどの特徴を持つ。
同社では、Mapbox広告の第1弾として「プロモーテッドピン広告」をYahoo!地図のiOS版アプリに導入している。地図上に広告主のピンを表示させ、クリックすると電話番号やルート検索などの情報カードを表示するもの。実際に電動キックボードシェアリングサービスのLUUPなどが出稿しており、広告主は配信から効果測定まで可能なAds SDKの実装のみで広告事業を開始できるメリットがある。
地図向けに最適化したアドネットワークを構築した理由として、マップボックス・ジャパン最高経営責任者CEOの高田徹氏は「地図サービスの収益化」を挙げた。同氏は、Yahoo! JAPANがディスプレイ広告を生み出して成長した例などを挙げ、「地図の世界にもそういった現象を起こしたい。地図の世界に最適な広告技術をもたらすことで収益化に成功する事業者を数多く生み出したい」と語った。
マップアドネットワークには、ヤフー、ゼンリン、ジョルダン、ナビタイムジャパン、駅探、インクリメントP、マップルの7社が参加し、1年以内に3000万ユーザーへのリーチを目標とする。従来、地図業界ではそれぞれの地図サービス単体では十分な広告収益をあげることが難しく、広告による収益機会が限定されるという課題があったが、ネットワーク内で一手に広告事業を展開することによって収益の向上を図るとしている。また、広告の取り扱い量を増やすことで内容の多様化や質の向上も見込めるとし、ユーザーに最適な広告を届けられるという。
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