Amazonは、欧州連合(EU)の一般データ保護規則(GDPR)に違反したとして、制裁金7億4600万ユーロ(約970億円)を科す決定を受けたことを明らかにした。GDPRに基づく制裁金としては過去最大規模になる。ルクセンブルクのデータ保護当局CNPDが現地時間7月16日に決定を下した。
CNPDは、Amazonによる顧客データの処理に関して違反と判断した。Amazonは規制当局に提出した7月30日付けの書類の中で、制裁金について明らかにした。CNPDはこの決定に関して公にコメントしていない。米CNETはCNPDにコメントを求めたが、回答は得られていない。
Bloombergによると、Amazonに対するCNPDの調査は、フランスのプライバシー保護団体La Quadrature du Netによる2018年の申し立てに基づく。
Amazonは顧客データの使用方法をめぐって、米国内外でますます厳しい監視の目を向けられるようになっている。規制当局は、Amazonのデータ処理の方針が、オンラインでショッピングする消費者のプライバシー保護の規制に違反している可能性や、同社のマーケットプレイスで販売する業者より自社を優遇している可能性があることを懸念している。Amazonは、顧客のデータは安全であるとし、制裁金はデータ流出によって科されたものではなく、GDPRに基づく制裁金の多くのケースとは異なると訴えている。
Amazonの広報担当社は30日、「顧客情報のセキュリティと顧客の信頼を維持することは最優先事項だ」とし、「データの流出はない。顧客データはどのような第三者にも漏えいしていない。これらの事実に議論の余地はない」と述べた。
欧州各国のデータ保護当局は、2018年にGDPRが施行されたことに伴い、ユーザーデータの保護を怠ったり、データを不適切に使用したりする企業に一層強い制裁を科す権限が与えられるようになった。義務を怠った企業に対し、世界における年間売上高の4%を上限に制裁金を科すことができる。Amazonはルクセンブルクに拠点を置いており、Amazonが規則を順守しているかどうかをCNPDが判断する。
Amazonはこの決定に納得しておらず、異議を申し立てる意向だと同社の広報担当者は述べた。「当社が顧客に関連性の高い広告を表示する方法に関連する今回の決定は、欧州のプライバシー法の主観的で未検証の解釈に依るものであり、提案された制裁金はその解釈とも完全に不釣り合いだ」と主張した。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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