建設現場の足場など仮設機材レンタル事業を手掛ける杉孝は7月9日、MRを使った足場安全教育コンテンツを積木製作と共同開発したと発表した。屋内でも足場の安全点検訓練ができる。足場機材などをレンタルする会社に向け提供し、安全かつ効率のよい研修を目指す。
MRを使った足場安全教育コンテンツは、CGコンテンツ制作などを担う積木製作とともに開発。スマートグラス「Microsoft HoloLens2」を装着し、講師と受講者が同一の3Dモデルを共有しながら、足場点検の方法や不安全箇所を探す訓練などを受けられる。
6人まで同時接続ができ、QRコードを見ると足場が目の前に現れる仕組み。実寸大のモデルで足場点検のポイントを習得でき、脚立を持ち上げるなどの操作も可能。脚立や作業台の適正使用を習得できるとしている。
通常は機材をレンタルする企業を訪れ、駐車場などの空きスペースに足場を実際に組んで研修を実施しているとのこと。スペースが必要になるほか、足場を組む作業や解体、さらには天候に左右されるなど、かなりの時間と労力がかかっているという。
MRコンテンツの採用により、会議室などの比較的小さなスペースでも研修ができるほか、持ち運びもしやすいことがメリット。コンテンツ内では実寸表示ができるほか、50%、25%と縮尺の変更も可能。釘の留め忘れを指摘し、その後釘留めした画像が現れるなど、目の前で確認しながら研修を進められる。
リアルな災害事例を織り交ぜていることが特徴で、放置されているポールが落ちる、脚立の一番上まで登って作業していると転落するなど、3Dキャラクターによる災害事例も体感できる。
SUGIKOでは、「安全体験VRトレーニング」なども提供しており、VRコンテンツも手掛けるが、人との距離感をつかみやすい、周囲の状況がわかることが望ましいといった理由から今回はMRを採用したという。
積木製作によると、コンテンツ制作には約5カ月を費やしたとのこと。ただ、その前の打ち合わせにかなり時間を割いており、完成までには約2年がかかっている。
今後は、実際に足場を組み立てて行う足場点検訓練も行いながら、現場の効率化や生産性の向上などを目指し、時代に沿った新たな付加価値を提供できるよう足場DXに取り組んでいくとしている。
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