新興企業のSiFiveは、高速化した新たなプロセッサーコア「P550」を発表した。これを採用するチップは、モバイルデバイスなど多くのエレクトロニクス製品に搭載されるプロセッサーの市場で先頭を走るArmに挑む力を強化できることになる。SiFiveはまた、チップの製造でIntelとのパートナーシップを強化した。
SiFiveは、オープンソースの命令セットアーキテクチャー(ISA)であるRISC-Vの利用推進を目的とした非営利団体RISC-V Internationalの主要メンバーだ。RISC-Vは無料で使用できる。一方、Armの事業は、独自のISAとこれを利用したチップの設計をAppleやQualcomm、サムスンなどの顧客にライセンス供与することだ。Intelは、「x86」系ISAを利用した独自のチップを開発して販売している。
P550と姉妹モデル「P270」は、高性能に重点を置いた「Performance」ファミリーの第1弾であり、「Linux」OSを動作させるのに十分な処理能力を備えている。これとは対照的に、かつてのRISC-Vチップは、Seagate製ハードディスク内部の動作を制御するなど、より補助的な役割を担うことで最初の足場を築いた。
SiFiveの躍進は、最近チップ業界に到来した突然の変化のうちの1つだ。Appleは「Mac」用にIntel製のチップを購入することをやめ、代わりに自社設計のArmベースのチップを使用するようになった。台湾積体電路製造(TSMC)はIntelから世界最大の先端チップ製造者の地位を奪い、Intelも新CEOのPat Gelsinger氏の下で方向転換を図っている。また、世界的なチップ不足により、自動車産業の一部が休止状態になっている。
今回の発表とともに、IntelがP550にメモリーなどのコンピューティングハードウェアと通信する自社製コンポーネントを組み合わせたプロセッサー「Horse Creek」を提供する計画を明らかにした。同社が数十年にわたりx86チップに注力してきたことを考えると、驚くべき展開といえる。
IntelはGelsinger氏のリーダーシップの下、新しい取り組みに積極的になっている。そうした取り組みの1つが新設された「Intel Foundry Services(IFS)」部門による他社開発チップの製造だ。同社はIFS部門でRISC-VやArmベースのプロセッサーを製造することを予告している。
IntelはSiFiveを20億ドル(約2200億円)で買収することを検討しているとReutersが6月に報じていた。IntelとArmは本件に関するコメントを控えた。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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