コロナ禍が浮き彫りにしたアクセシビリティーの重要性--生きやすい社会にするには - (page 2)

Abrar Al-Heeti (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2021年06月03日 07時30分

目的をきちんと持つ

 パンデミックがきっかけとなった多くの便宜的対策が、障害者コミュニティーの人々に役立ったことは間違いない。しかし、それらの対策は、昔からそうした対策を求めていた自分のような人間を助けるために導入されたわけではない、とカリフォルニア大学バークレー校のウェブ・アクセシビリティー・エバンジェリストで視覚障害があるLucy Greco氏は指摘する。

 Greco氏は「(在宅勤務は)私たちへの便宜として許可されたわけではない」「それが私たちに許可されたのは、他の皆が許可されたからだ」と話す。

 同氏によると、障害がある多くの人は、さまざまなビデオ会議やリモートワークのテクノロジーを使用するために、どんな機器やトレーニングが必要か、ということを尋ねられなかったという。

 「それが条件を公平化するものだとは誰も考えていない」と、同氏。「彼らはそうしたテクノロジーについて、何が機能するのか、そして仕事を遂行させるにはどうすればいいか、ということしか考えていない」

 障害のある人々が充実した生活を送るためには、一定の便宜やツールが極めて重要であるということを企業や組織が認識しない限り、「通常」の生活が戻ったときに、見落とされた人々が取り残されてしまうリスクがある、とGreco氏は言う。

 また、一部のプラットフォームは、必要なリソースをすべての人が確実に利用できるようにサービスを改善する必要がある、とGreco氏は述べている。例えば、Zoomはビデオ通話で利用可能な字幕自動生成機能をリリースしたが、聴覚障害者や難聴者にとっては、自動化技術によるエラーを減らすために人間の字幕作成者を用意するのが理想的だとしている。そうすれば、聴覚障害がある人は、プレゼンテーションや会議について質問やコメントがある場合、字幕作成者と直接コミュニケーションをとることができる。ニューヨーク市立大学クイーンズ校では、オンラインのテキストを米国手話のアニメーションに変換する方法についての研究も進行中だ。

 他のプラットフォームは、もっと改善が必要だ。Greco氏は、2020年9月に行われた講演で、オンラインイベントプラットフォームの「Hopin」を使用したと語った。夫がGreco氏のすぐ後ろに立って、画面がきちんと投影されていることを確認し、参加者から送信されたチャットの内容を読み上げなければならなかった。「あれは屈辱的だった」とGreco氏は振り返る。

 この一件について、米CNETがHopinの関係者にコメントを求めたところ、Hopinは「自社のプラットフォームが『ウェブ・コンテンツ・アクセシビリティー・ガイドライン』(WCAG)を含む業界のベストプラクティスに一貫して準拠するように、完全なアクセシビリティー監査に取り組んでいる」という。それには、エンジニアとデザイナー、デジタルアクセシビリティーの専門家からなる特別チームを結成して、プラットフォームのアクセシビリティー向上に取り組むことも含まれる。

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