建売分譲住宅の開発、販売などを手掛ける三栄建築設計、オープンハウス、ケイアイスター不動産の3社は4月13日、「脱炭素」社会の構築、持続可能な社会作りを目指し、一般社団法人 日本木造分譲住宅協会を立ち上げた。国産木材の調達に関する課題などに取り組んでいく。
日本木造分譲住宅協会は、三栄建築設計の代表取締役社長である小池信三氏が発起人となり立ち上げた。「三栄建築設計、オープンハウス、ケイアイスター不動産の3社は、1900年代に分譲建売住宅会社として創業。30年近くお客様のために住宅を作ってきた。これからは、お客様に満足していただける住宅供給だけでなく、社会的にできることはないかと3社で話し合う中で、昨今、大きな被害の出る水害被害をなんとかしたいというテーマが見えてきた。戦後国策として植えられた杉の木は、需要がなく放置されているものもある。杉は根が下ではなく横にはえる樹木。それにより、地盤が固くなり、雨水などがそのまま谷、河川に流れ、一気に増水する。そのため早い段階で杉の木を伐採し、新しい木を植えることが大事だと考えた」(小池氏)と、設立の背景を話した。
現在、海外からの輸入材がメインとされる木材を国内木材に切り替えていくことが目的。「関東だけの問題でなく、日本にはたくさんの杉の木が放置されている。まず3社で国内木材と使っていき、その後は同業の企業に賛同をいただきながら、日本の森林を活用していきたい。建売業界として脱炭素社会に向け取り組んでいく」(小池氏)と今後を見据える。
協会としては、木造建造物に関わる人材育成や、技術開発、調査研究なども手掛けていく計画。将来的には、高品質の木造住宅の提供を目指し、マイスター認証制度なども設けていく方針だ。
設立発表会では、前職で林野庁長官を務め、現在は森林を活かす都市の木造化推進協議会理事である島田泰助氏も登壇。「輸入材から国産材へと原料転換を図る。日本木造分譲住宅協会は、私たちの活動と方向を同じくしているもの。大変心強く、大きな成果をあげてくれると期待している。日本の森林は、戦後植林された森林が今利用期を迎え、その健全性を確保するために、切って、使って、植え替える時期が到来している。木材を使って森林を守る時代が始まっている」と現状を説明した。
現在、関東では東北地方の木材が数多く使用されており、今後は東北地方での植林も手掛けていく構え。将来的には、使用した木材を100%山に戻していく考えだ。
2020年の12月から2021年1月にかけ、理事長の小池氏がオープンハウス 代表取締役社長の荒井正昭氏と、ケイアイスター不動産 代表取締役の塙圭二氏に声をかけ、設立に至ったとのこと。今後は、同じ木造の建売分譲住宅を手掛ける企業に声をかけ、参加者を増やしていきたいとする。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス