アフリカの産業作りをリードするスタートアップを支援する「UNCOVERED FUND」始動

 アンカバードファンドは2月16日、アフリカのシード/アーリーステージを対象にしたベンチャーキャピタルファンド「UNCOVERED FUND投資事業組合1号」を組成したと発表した。サムライインキュベートと共同で東アフリカを中心に投資活動をしていた寺久保拓摩氏が独自に立ち上げた企業だ。6月末を最終クローズとし、総額15億円規模のファンドを予定している。

UNCOVERED FUNDの代表取締役である寺久保拓摩氏(中央)
UNCOVERED FUNDの代表取締役である寺久保拓摩氏(中央)

 同社は、アフリカ大陸の産業作りをリードするシード・アーリーステージのスタートアップ企業に対して、資金提供と事業成長を支援するベンチャーキャピタル。UNCOVERED FUND投資事業組合1号では、アフリカスタートアップ企業を対象に、5〜50万ドル(約500〜5000万円)の投資と成長支援を実施する。

 「アフリカの産業を作っていくことが僕たちのミッション。それぞれの産業のバリューチェーンをいろいろなスタートアップをつなげながら作っていき、そこに日本の大企業を巻き込んでいきたい。2030年のアフリカの経済基盤を築くことが、この10年間のミッション」(寺久保氏)。

 さまざまなインフラが整備されるよりも先にスマートフォンが普及しつつあるアフリカでは、デジタルが軸に産業が作られていくと寺久保氏は見ている。たとえば、小売の購買体験1つとっても、日本のように店舗に行くことはなくスマホが店舗の入り口になる。こうした変化が、アフリカは日本よりも数年早く訪れると予想しており、それらのノウハウを日本の持ち帰ることができるのではないかと寺久保氏は考えているという。

 UNCOVERED FUNDの投資テーマとしては「Retail」「Fintech」「Health Tech」「Logistics」「MaaS」「Agri/FoodTec」「Smart City」の7つを挙げており、アフリカ経済の根幹を担う持続可能な事業を、現地のスタートアップ企業とともに創造していくという。

UNCOVERED FUNDの7つの投資テーマ
UNCOVERED FUNDの7つの投資テーマ

 各領域について具体的に、Retailでは90%が個人商店として運営される小売店の販売促進、業務管理・流通DX支援。Fintechでは、急増するアフリカの中間層の購買需要を満たす、レンディングや決済手段。Health Techでは、誰もが必要な医療や医薬品に負担が少なくアクセスできるデジタル医療システムの構築。Logisticsでは、物流の効率化やコスト削減、トレーサビリティやコールドチェーンを通じた物の移動の効率化。

 MaaSでは、公共交通機関がないアフリカで環境に配慮し、人の移動を最適化するデータを活用した移動の無駄の削減。Agri/FoodTecでは、アフリカ大陸の食需要を賄う持続可能な栄養供給や畜産・農業生産性の向上。Smart Cityでは、アフリカの都市発展を支える分散型でサステナブルな循環型社会の形成といったテーマを挙げている。

 なお、同ファンドではすでに数社への投資を実行しており、合わせてポートフォリオも公開している。たとえば、アフリカで流通するフェイクドラッグ(偽薬)をテクノロジーで防ぐRxAllや、配送インフラが整っていないアフリカ諸国で物流の効率化を図るSkyGardenなどに、それぞれ1000万円以上の出資をしているという。

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