前述のようにこのサービスは18歳以上対象だが、実際はそれ以下の年齢の子どもたちも多く参加している。
たとえば検索(虫眼鏡)マークで「高校生」と検索すると、プロフィールに高校生と書かれているユーザーが多数見つかる。それどころか「中学生」と書いているユーザーも見つかる状態だ。中には「中学生(14)」「東京の中学生(15)」「高校生 Age17」「04’(16)高校生です」などと書いてあるユーザーもいる。
ある40代男性は、高校生が多く参加するルームを見つけて参加し、知らない高校生たちと話したという。「どんなアプリが流行っているのかとかいろいろ聞けて楽しかった。でも考えてみたら、高校生と見知らぬおじさんが話せるというのはとても怖い。事件に巻き込まれそうな気がする」
また別の50代男性は、「高校生の息子がいつの間にかClubhouseに入っていた。同級生の友だちもたくさん入ってきたようだ。高校生が集団で入ってきてroomを荒らしたのも見かけたし、大丈夫なんだろうか」と首を傾げる。筆者はモデレーターを務める高校生も見かけたことがある。
Twitterでは、「高校生限定で招待します。2名限定」などの投稿も見かける。「Clubhouse入りたいけれど招待してくれる人がいない」と言っている高校生も知っている。しかし、招待には電話番号を教える必要があり、見知らぬ人に招待を依頼した場合は、その人に電話番号を知られて悪用されるリスクがある。少なくとも知らない人に招待を依頼するのは避けるべきだろう。
ある50代女性は、その日初めて話したばかりのユーザー同士が、「明日会おう」と約束しているのを見かけたという。「私の年齢を知ったらすっとroomから出ていった人がいて腹がたった。明らかに出会い系に使われていると思う」。
未成年の子どもたちが大量に入ってくることで、問題はないのか。懸念は、やはり出会い系被害と個人情報流出などだろう。直接話すことで親しくなりやすく、相手に好意や信頼をいだきやすくなる。未成年の子どもたちは警戒心に乏しく、話しているうちにさまざまな個人情報を漏らしている子どもを知っている。
これまでにも、子どもが生配信やオンラインゲームのボイスチャットなどで個人情報を漏らしてさらし者にされたり、誘拐や性被害などの出会い系被害に巻き込まれたりする事件が起きている。しかも話したことは録音などがされていないため、証拠も残らない。どのようなやり取りがされても、大人は気づかない可能性が高いのだ。
Clubhouseは、コロナ禍でもリアルコミュニケーションできたり、新しい出会いも得られ、新しい可能性を感じる。しかし、未成年の利用にはそのようなリスクがあることを知り、保護者はそもそも使わせないか、もし使わせるのであればしっかりと利用を見守るべきだろう。
高橋暁子
ITジャーナリスト。書籍、雑誌、Webメディア等の記事の執筆、企業等のコンサルタント、講演、セミナー等を手がける。SNS等のウェブサービスや、情報リテラシー教育について詳しい。
元小学校教員。
『スマホ×ソーシャルで儲かる会社に変わる本』『Facebook×Twitterで儲かる会社に変わる本』(共に日本実業出版社)他著書多数。
近著は『ソーシャルメディア中毒 つながりに溺れる人たち』(幻冬舎)。
ブログ:http://akiakatsuki.hatenablog.com/
Twitter:@akiakatsuki
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