Qualcomm Technologiesの最新のハイエンド5Gプロセッサーがサムスンの「Galaxy S21」シリーズに搭載されるとの報道から約1週間後、競合のMediaTekが新型の5Gチップセット「Dimensity 1200」と「Dimensity 1100」を発表した。台湾のチップメーカーである同社の新型プロセッサーは人工知能(AI)とカメラ、それにマルチメディア機能が強化されている。
これらの新型チップセットは、TSMC(Taiwan Semiconductor Manufacturing Company)の6ナノメートル技術を利用して作られている。これに対し、2020年にリリースされた「Dimensity 1000」は7ナノメートル技術を採用していた。また、新型チップセットはArmの最新コアテクノロジー「Cortex-A78」も搭載している。これらの新たな技術を取り入れることで、Dimensity 1200は2020年のチップセットと比べて、動作速度が22%、バッテリー効率が25%向上したという。
また、複数の人物を被写体としたポートレートモード撮影や夜間のパノラマ撮影など、AI関連のタスクのパフォーマンスが12.5%向上した。さらにMediaTekは、ディスプレイに関してより高速なリフレッシュレートのサポートを追加するなど、ゲーミング機能も強化している。
Dimensity 1100と1200を搭載した最初のスマートフォンは、2021年第1四半期の終わりごろに市場に登場する予定だ。すでに中国の携帯端末メーカーrealmeは、Dimensity 1200を搭載したスマートフォンをいち早く発売する企業の1つになることを明らかにしている。また、小米科技(シャオミ)やVivo、OPPOもMediaTekの最新チップセットを採用することを表明した。
5Gチップを製造しているメーカーはQualcomm、MediaTek、サムスン、華為技術(ファーウェイ)の4社だ。そのうちサムスンとファーウェイについては、製造した5Gチップセットを用いる対象は、ほぼ自社のデバイスに限られている。Qualcommは、Appleの「iPhone 12」シリーズをはじめ、2020年に発売されたハイエンドスマートフォンの大半に5Gモデムを供給した。一方のMediaTekは、主にアジアの端末メーカーにモデムを提供している。こうした製品の後押しもあり、同社は2020年第3四半期に史上初めて世界最大のスマートフォン向けチップセットベンダーになったと、Counterpoint Researchは報告している。
「MediaTekは、100~250ドル(約1万400円~2万6000円)の価格帯で優れたパフォーマンスを達成し、中国やインドといった主要地域での成長によって、世界最大のスマートフォン向けチップセットベンダーとなった」と、Counterpoint Researchは述べている。ただし、5Gプロセッサーの販売数で見ると、トップはいまだにQualcommだという。
MediaTekは5Gへのシフトを、米国のスマートフォン市場に参入する好機と見ている。米国では、2020年8月に発売されたLGエレクトロニクスの「LG VELVET」(米国での販売価格は600ドル=約6万2000円前後)が「Dimensity 1000C」を搭載し、MediaTekのプロセッサーを採用した初めてのスマートフォンとなった。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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