パーソル総合研究所は、新型コロナ第3波による感染拡大期におけるテレワークの実態・課題を定量的に把握することを目的に、11月18日~11月23日に4回目となる2万人規模の調査「第四回・新型コロナウイルス対策によるテレワークへの影響に関する緊急調査」を実施。その結果を12月16日付で公表した。対象は全国の就業者で20~59歳男女、勤務先従業員人数10人以上。正規雇用が1万9946人、非正規雇用(パート・アルバイト、契約社員、嘱託社員、派遣社員)が2973人で、調査会社モニターを用いたインターネット定量調査としている。
テレワーク実施率について、調査期間の11月18日~11月23日は新型コロナ感染拡大の勢いが続いている時期であるが、正社員のテレワーク実施率は全国平均で24.7%となった。5月25日の緊急事態宣言解除(全国)直後は25.7%であり、1ポイント減少しているという。
正社員のテレワーク実施率が24.7%であるのに対して、非正規雇用の実施率は15.8%と、8.9ポイントの差があるという。5月29日~6月2日の調査(5月調査)のときは、正社員が25.7%で非正規が18.7%と、7ポイントの差。4月10日~12日の調査(4月調査)のときは、正社員が27.9%で非正規が17.0%と、10.9ポイントの差がある。
企業規模別(従業員数別)にテレワーク実施率をみると、1万人以上の企業では45.0%と高い割合となった一方、100人未満では13.1%と低い割合になり、約3.4倍もの大きな差がついた。5月調査では約2.7倍の差(1万人以上42.5%、100人未満15.5%)であったため、企業規模による格差が広がっていると指摘する。また、業種別にテレワーク実施率をみると、最も高い割合となったのは「情報通信業」で55.7%となった。
テレワークをしていない理由について、5月調査と11月調査を比べると、「テレワークで行える業務ではない」が、7.8ポイント減少と大きく下がっている。一方で、「会社がテレワークに消極的で、実施しにくい」が2.3ポイント上がっているという。テレワークでできる業務であっても、組織としてテレワーク推奨を継続するというメッセージが明示されていなかったり、上司・同僚の出社により同調圧力が生まれたりするなど、不要な出社が増えている可能性があると指摘する。
テレワーク実施者(正社員)における、コロナ収束後のテレワーク継続希望率は、全体で78.6%。4月調査では53.2%、5月調査では69.4%だったため、テレワーク継続希望率は上昇し続けているという。男女ともに30代が最も継続希望率が高く、女性の方が男性よりも継続希望率が高いという結果となっている。
テレワーク実施のメリットについては、新型コロナウイルス感染のリスクを減らす以外にも、通勤・移動の時間やストレスの削減など、さまざまなメリットを感じていることが分かる。
テレワークの不安については、全体的に減少傾向にあるという。昇進・昇格への影響懸念や社内異動希望への影響懸念などのキャリア関連の不安は横ばい傾向。注意すべきは、年代別にみると若い世代ほど不安を抱えていることであり、ケアが必要だと指摘している。
テレワークの課題は概ね減少傾向にあり、テレワーク慣れとともに課題が解決される傾向にあると考えられる。しかし、唯一「労働時間が長くなりがちだ」だけが上昇(4月調査で21.2%、5月調査で23.2%、11月調査で25.5%)。テレワーク浸透にともなう長時間労働には注意が必要としている。
また企業のテレワーク方針をみると、ワクチンが普及した後は「原則、全員出社にする予定」という回答割合は3割強、「まだ決まっていない」は4割強となっている。
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