「オンライン飲みの方が盛り上がる世界を作りたい」--食×ソフトウェアの挑戦、nonpiインタビュー - (page 2)

オンライン飲み会、どう使われている?

――実際にはどういったケースで使われているのでしょうか。会社の部署内の飲み会が多いのでしょうか?

上形氏:いろいろありますね。たとえば最近では内定式がオンラインになっていますし、毎年12月に1000人規模の忘年会をしていたIT企業がオンラインで開催するといった例もあります。

 新しいニーズとしては、「ウェルビーイング」という言葉がありますが、従業員の心の健康面をものすごく気にされている企業も多く、定期的にオンライン飲み会などを開催することでコミュニケーションをとろうという流れができています。今は新卒入社してからずっとテレワークという会社もあります。テレワークが進むにつれて、新しく生まれてきたニーズですね。

中筋氏:このサービスの重要なテーマでもあるのですが、一緒に仕事する上では、その人がどういう人なのか、どういう考え方なのか、仕事のやり方はどうなのか、相互理解がすごく重要になります。そうした文脈が分かると、すごく働きやすい環境になると思うんです。

 でも、いきなりオンラインになると、それが分からない。そこを補填するために使っている印象ですね。それはオンライン飲み会だけではありません。たとえば、エンジニア同士でZoomでつなぎながら、それぞれがプログラミングをするといった仕事のテクニックも生まれています。「この処理ってどうなっているんだっけ?」など、ポロッと雑談ができるかどうかは大きいんですよね。そういう環境もなしにリモートワークになってしまうと、断絶された環境と本人が受け止めてしまう場合もあります。新卒からそれはかなりつらいですよね。

オンライン飲み会は相互理解のきっかけになると中筋氏
オンライン飲み会は相互理解のきっかけになると中筋氏

――それまでは部署内で自発的に行われていた飲み会を、会社の福利厚生やヒューマンリソース・マネジメントの一環として、新たに予算を取って取り組んでいるような流れでしょうか。

上形氏:両方ありますね。ある外資系企業では、今までの接待交際費とは別に、明確にオンライン接待交際費として費目を作るような会社も出てきています。接待で使われている場合もあります。今は3500円とか5000円といった価格帯が中⼼ですが、接待向けの要望もあり、9000円のプランも12月に新登場しました。今後も既存価格帯から⾼価格帯まで幅広いプランをリリースしていく予定です。

会話を止めないサイズ、冷めていても「おいしい」--考えたメニュー

――注文するとメンバーに食品やお酒が入ったボックスが届く仕組みですが、そのボックスはどのように開発したのでしょうか。

上形氏:クロネコヤマトのクール便の最小サイズが60cm⾓の段ボールなので、送料を抑えるため、そこに入る最適な組み合わせを考えて詰め込みました。

中筋氏:サイズが大きくなると送料が上がりますし、無駄に大きいものを送られて喜ぶ人もいません。液漏れの問題などもあるので、何回もテストして作りました。

真空パックのため、液漏れの心配がない
真空パックのため、液漏れの心配がない

――ヤマト運輸のクール便を使った理由や狙いについて教えてください。

上形氏:一番の理由は配送のオペレーションですね。他社のフードデリバリーサービスの場合、首都圏しか対象にしていないものもありますが、全国に届けられないと法人需要が増えないと考えました。そこで、フードデリバリーサービスの新しいチャンネルとして思いついたのがクール便です。

 そうなったときに、クール便で届けてもおいしい食事を作るというのが第一のハードルでした。冷めていても、冷たい状態でもおいしいことにこだわって作りました。あとは、あくまでもオンラインで会話しながら食べるものなので、⼝を⼤きく開けないで⾷べられるようなサイズ感で、出来る限り咀嚼⾳を配慮するとか、いろいろ考えています。

 「神泡サーバー」が付いてくるサントリーさんとのコラボなどもスタートしたのですが、このようなものが会社から配られると、今まで飲まなかったものを飲んでみたりするチャンスにもつながるので、広告媒体のようになる可能性も感じています。今後は飲食店とのコラボなども準備していきます。

――どこで作られているのでしょうか。

上形氏:基本的に社員食堂の遊休資産を活用して作っています。

配送準備をしているところ。アルコール、ノンアルコールなど要望に併せて酒を詰め、食事と合わせて配送する
配送準備をしているところ。アルコール、ノンアルコールなど要望に併せて酒を詰め、食事と合わせて配送する

 台湾などのアジア圏にも届けられないかといった相談も来ています。まだグローバルまで広げるのは難しいですが、地球の裏側の人と同じ食事を食べられるという可能性は感じているので、まだ構想段階ですが来年もしくは再来年には挑戦したいですね。

都内にある厨房でていねいに作られていた
都内にある厨房でていねいに作られていた

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