欧州連合(EU)の欧州委員会は現地時間12月15日、今後数年間の欧州におけるテクノロジー大手への規制のあり方を決定づける可能性のある2つの主要な法案を公表した。当初12月初旬に公表予定だった「デジタルサービス法」と「デジタル市場法」はこの日、ブリュッセルでの記者会見で委員のThierry Breton氏とMargrethe Vestager氏によって発表された。
これら2法案は、ソーシャルメディア、オンラインマーケットプレイス、他のオンラインプラットフォームを含む各種デジタルサービスのための新たな規則を定めるものだ。両法案は、オンラインで遭遇する可能性のある多くの危険からユーザーの安全を確保しつつ、EU域内での競争を促進することを目的とする。
テクノロジー大手は、規則に違反した場合、世界全体の年間売上高の最大10%の罰金を科せられる可能性や、欧州における事業拡大が制限される可能性がある。EUの規制当局には企業の分割を命じる権限が与えられることになるが、Vestager氏とBreton氏はいずれも企業分割は最後の手段だと表明しており、Breton氏は欧州では企業が「大きすぎる」ということはないとした。
今回の法案は、可決されるまでに数年を要する可能性があるが、ハイテク企業に対する世界的な規制の気運が高まっているタイミングで公表された。同じく15日、英国はオンラインでの被害を防止することを目的とする法案を公表した。また米国では、テクノロジー大手を分割するかどうかの議論が進んでいる。
デジタルサービス法(DSA)は、EU域内で提供されているすべてのデジタルサービスに適用され、以下に関する規則が含まれる。
第2の規制であるデジタル市場法(DMA)は、「ゲートキーパー」(門番)とみられている大企業にのみ適用される。DMAの目的は、欧州で事業を展開しているテクノロジー大手が、新たなサービス、ツール、企業によるEU市場への参入を妨げないようにすることだ。
欧州委員会は法案の中でDMAが適用される具体的な企業名を挙げることなく、ゲートキーパーの定義に用いる基準について見解を示した。これによると、対象となるのは、欧州市場での年間売上高が65億ユーロ(約8200億円)を超え、EU加盟国3カ国以上でサービスを提供しており、月間アクティブユーザーが4500万人以上の企業だという。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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