UberとLyftは、カリフォルニア州でギグワーカーを独立請負業者の区分にとどめるための発案に住民投票で賛成票を投じるよう求めるキャンペーンを成功に導くため、約2億ドル(約210億円)の取り組みを強化している。これまでに郵送のダイレクトメールや電子メール、テキストメッセージ、プレスリリースを送付したほか、広告も展開してきた。両社が打ち出している多くのスローガンの1つが「有色人種コミュニティは『Prop 22』を支持している」というものだ。
「Yes on Proposition 22」(Proposition 22に賛成しよう)と銘打たれたこのキャンペーンは、全米黒人地位向上協会(NAACP)のカリフォルニア州にある支部のトップで、著名な黒人指導者のAlice Huffman氏の支持も取りつけた。
しかし、このキャンペーンの財務記録を少し調べると、Huffman氏の支持表明が果たして自主的な判断と言えるのか、疑問が浮上する。Yes on Proposition 22からA.C. Public Affairsという会社に1万ドル(約110万円)と1万5000ドル(約160万円)の入金が複数回あったことが判明している。州都サクラメントにあるこの小規模なコンサルティング会社は、Huffman氏が姉妹で経営している企業だ。9月30日の時点で、同キャンペーンからA.C. Public Affairsに支払われた金額は合計で8万5000ドル(約900万円)に達している。
NAACPがProposition 22を支持したのは、人種間の公正が中心的なテーマの1つになり、かつてないほど緊迫した状況にある大統領選挙の年のさなかだ。大企業や政治家は敏感に反応し、人種差別や不平等を非難する姿勢を示している。また、Huffman氏の支持を取りつけたことで、Yes on Proposition 22キャンペーンは、自らの主張の論拠として人種的公正の観点を利用し、住民投票で発案を成立させようとしていることになる。
Yes on Proposition 22は、Uber、Lyft、DoorDash、Instacart、Postmatesなどが支援しており、各社が膨大な金額をこの発案に投じたことで、カリフォルニア州史上最も多額の運動費がつぎ込まれた住民投票キャンペーンの1つになったとされている。この発案は2019年9月にドライバーの地位を従業員に変更することを義務づけた「AB5」法が同州で通過したことなどを受けて開始された。
ギグエコノミー企業とカリフォルニア州の対立の余波は、全米に及ぶ可能性が高い。ニューヨーク州など他の州も、AB5法に似た法案を検討している。
Yes on Proposition 22キャンペーンによれば、米カリフォルニア州のギグワーカーの過半数が有色人種だという。これはUber自体のデータにも裏付けられており、同社の米国ドライバーの55%以上を白人以外の人種が占めている。カリフォルニア大学サンタクルーズ校が実施した別の調査でも、サンフランシスコのUberやLyftなどのドライバーの約80%が有色人種であることが明らかになった。
米CNETは、Huffman氏とA.C. Public Affairsにコメントを求めたが返答はない。NAACPのカリフォルニア州支部と本部もコメントに応じなかった。Uber、Lyft、DoorDash、Uberが7月に買収を発表したPostmatesもコメントしていない。Instacartは米CNETに対し、Yes on Prop. 22キャンペーンのコメントを参照するよう促した。
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