使い勝手がバラバラで、ユーザーインターフェースもサービスごとに異なるウェブシステムの画面上に操作ガイドを表示してサポートするSaaS「テックタッチ」を提供するテックタッチが、シリーズAラウンドで5億円の資⾦調達を実施した。引受先はDNX Ventures、Archetype Ventures、DBJキャピタルなど。今後追加でベンチャーデットによる数億円の資⾦調達も予定する。
テックタッチは、2018年に設立。ドイツ証券、新生銀行などでキャリアを積んだ井無田仲氏が「大企業の中で働くのは、優秀な人材も多く、仕事の内容も面白い。しかし自分で判断ができなかったり、人事の評価制度が会社の尺度で決まっていたりして、自由度は低い。自分が理想とする会社を作りたかった」という思いから立ち上げた。
金融業界で働き、その後スマートフォンアプリなどの開発会社で勤めた経験を持つ井無田氏は、ITの浸透による企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を間近に見てきた。テックタッチは、「企業の競争力を上げるのは、いかに組織と個人をデジタル化し、効率化していけるか。システムの使いこなしは初歩の課題だが、そこでつまずく人が多くいることがわかった。その課題を解決し、システムを飛び越えるような生産性向上を支援したい」という思いから生まれたサービスだ。
ブラウザ上で動くウェブシステムであれば、SFAやCRM、自社開発システム、経費精算、ワークフローなど、どんなシステムでも対応し、画面上に操作方法を表示。画面上に表示することで、マニュアルを探す手間もなく、吹き出しやアラートなど、操作方法に応じたナビゲーションを選べる。
各種のナビゲーションは、画面上で簡単に作成でき、1つのナビゲーション作成にかかる時間はわずか数秒。「実際にウェブシステムを使う人がナビゲーションやアラートを作れるため、本当に必要な手順を表示できる。システムを開発したエンジニが作るマニュアルとはそこが違う」と井無田氏は説明する。
すでに35社で導入が進んでおり、システム導入時にマニュアルを制作していた担当者がナビゲーションを作成するケースが多いとのこと。テックタッチがナビゲーション作成代行を請け負うサービスも用意する。
約20名いる社員のうち、エンジニアが半数以上を占め、安定した開発体制を持つが、今回の資金調達でも「強化したいのは開発部門」。「DXを支援するときに困るのが、進捗度合いが測れないこと。テックタッチを導入することで、システムの利用状況までわかるようにしていきたい。そうすることで、帳票を100枚作るのに、どれだけ時間がかかっているのか、誰がどの部分でつまずいているのかといったことがデータ化でき、分析できるようになっている。使えていない理由を見つけ、できるようにすることで、さらなるDX化を推進していきたい」と今後を見据える。
さらに「業務プロセスの処理パターンをデータによって蓄積し、可視化するプロセスマイニングにも活用していきたい。現在、RPAを使ってできる業務効率化は一部だが、この部分を推し進めることで、業務の半自動化が可能になる。ワンパッケージでRPAまでサポートできるシステムを開発していきたい」と意気込む。
導入が進む企業では、1つのウェブシステムにテックタッチを採用すると、別のシステムにも導入が進むというケースが出てきているという。井無田氏は「そうしたアップセルを続けながら、シリーズBラウンドまでには、さらなる導入企業を開拓していきたい」とした。
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