さいたま市教育委員会は7月8日、副業・兼業限定で「教育DX人材」を転職サイト「ビズリーチ」にて公募することを発表した。これは、文部科学省が掲げる「GIGAスクール構想」の早期実現に向け、専門的な知識を持つ人材を確保するための施策だ。ビズリーチは「教育DX × 副業・兼業モデル」を約10カ所の自治体・教育委員会へと無償提供する。
「1人1台端末」と高速な通信ネットワークを整備するGIGAスクール構想は、新型コロナウイルス感染症対策による休校措置の影響で2020年度末の実現を目指すよう、前倒しされている。さいたま市教育委員会は「GIGAスクール構想の実現には、ICT・IT領域のプロフェッショナルとの連携が必要」と考え、ビズリーチでの公募を決定した。
さいたま市教育委員会教育長の細田眞由美氏は、休校中のさいたま市の取り組みを紹介した。
「学びを止めないために、学習プリントの配布や家庭訪問、図書館や博物館などからの情報配信、168校の教職員が作成したデジタルコンテンツでの学習などを実施した。しかし、この3カ月で課題が見えた。家庭のIT環境が整っておらず、同時双方向のオンライン授業の実施が困難な現状があった。子ども自身が情報端末を所持している割合は約35%、保護者のスマホも含めても約95%だったからだ。また、教員のIT知識の不足、子どもたちがデジタルでの学びに慣れていないことなども課題と感じた」(細田氏)。
「そこで、教育を改革していく“教育のDX”(デジタルトランスフォーメーション)を進める重要性を感じた。しかし課題は山積みで、教育現場にはITスペシャリストがいない」ことから、細田氏はビズリーチと連携して副業・兼業での公募をすることを決めたと説明する。
「GIGAスクールさいたまモデル」の実現のために募集される職種は、GIGAスクール・アドバイザー<プロジェクトマネジメント>、教育ICTインフラアドバイザー、セキュリティアドバイザー、デジタル&オンライン教育コンテンツアドバイザーの4つ。各1名ずつの募集となる。
教育委員会とITスペシャリストでタッグを組み、GIGAスクール構想プロジェクトチームを結成する。プロジェクトチームは対面とデジタルのハイブリッド型授業や、GIGA×さいたまSTEAMS教育(STEAM教育にスポーツのSを足したもの)などを推進する。
ビズリーチ代表取締役社長の多田洋祐氏は、「ビズリーチ会員の約8割が副業・兼業を行いたい」と希望している調査結果を明らかにした。また、64%が「教育現場での副業・兼業に興味がある」との結果もあるため、「”教育DX × 副業・兼業モデル”を約10カ所の自治体・教育委員会へ公募サービスを無償提供することを決定した」(多田氏)という。
これにより、プロの人材と自治体・教育委員会がビズリーチ上でマッチングすることが可能となる。「教育DX人材募集は、さいたま市が第一弾となる。この国の未来を止めないために、ぜひプロの人材の方に応募してもらいたい。この取り組みはビズリーチができる社会貢献だと考えている」(多田氏)。
公募期間は7月8日から8月4日まで。勤務時間は月4日程度を想定している。報酬については5000円(勤務時間は1時間以内)〜2万円(勤務時間は3時間以上)だ。9月上旬から随時就業を開始し、現在は2021年3月までを想定している。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」