京急電鉄とサムライインキュベートは6月2日、スタートアップ企業とのオープンイノベーションにより新規事業創出を⽬指す「KEIKYU ACCELERATOR PROGRAM(KEIKYUアクセラレータープログラム)」第3期の参加企業10社を発表した。
今期のテーマは「リアルとテクノロジーの融合による新しい顧客体験」。事業のテーマ領域は「Mobility」「Living」「Working」「Retail」「Entertainment」 「Connectivity」の6つだ。今後は「沿線地域にこれまでにない新しい体験を付加するもの」と「既存事業領域をデジタルテクノロジーでアップデートするもの」2つの方向性で事業共創を目指す。
KEIKYU ACCELERATOR PROGRAMとは、京急グループの経営基盤と、スタートアップの製品やサービスを掛け合わせて事業共創を進める、オープンイノベーションプログラムだ。今期で3期目を迎え、応募企業は累計381社、事業共創パートナーは累計22社となった。
京急電鉄 新規事業推進室 主査の橋本雄太氏は、「京急グループのイノベーション・ビジョンは、モビリティを軸とした豊かなライフスタイルの創出。移動自体を便利にするだけではなく、既存の枠を超えた発想で、多彩で豊かな顧客体験を生み出したい」と意気込みを述べた。
KEIKYU ACCELERATOR PROGRAM第3期は、コロナショック下だからこその事業共創が加速しそうだ。京急の橋本氏は、「“ニューノーマル”に向けたモビリティ×ライフスタイルのイノベーション創出は、これまで以上に重要であり、かつ不可逆的なものだ。withコロナとして今できること、afterコロナのためにやるべきことを、協業でしっかり進めていきたい」と語った。
KEIKYU ACCELERATOR PROGRAMは、全ての協業プロジェクトが社会実装に至るという成果を上げている。2期では、採択企業5社のうち4社と現在も協業を継続中で、正式なサービスリリースや導入実績は4件を超えた。
サムライインキュベート Partner Enterprise Groupの成瀬功一氏は、京急の成功要因をこのように分析する。「様々なスタートアップとの協業があるなかで、全体戦略やシナジーを明確にして、京急グループ全社を巻き込んでいくことで、現場と一体になった協業や検証ができている」(成瀬氏)
また、今後について成瀬氏は、「強固なリアルアセットに、デジタルによる自動化や付加価値をつける。新しいモビリティや不動産のサービスをアセットとして追加する。そして、デジタル化により新たに生まれてくる価値を取り込むことで、京急の次世代プラットフォームができる」と言及。スタートアップとの協業から、リアルとバーチャルの両面で地域と深くつながる展望を語った。
KEIKYU ACCELERATOR PROGRAM第3期の参加企業は、AIトラベル、Elaly、COUNTERWORKS、Carstay、SEQSENSE、シナスタジア、JX通信社、scheme verge、MiraRobotics、Liberawareの10社。
AIトラベルは、旅行系サプライヤーと社内システムと連動した、法人向け出張予約・管理・分析ができるクラウド型サービスの開発・提供をしている。今後は京急EXインと提携し、法人顧客向けにベストレートでのプラン提供や、施設向けにパーソナライズデータの提供を行う。長期的には、近距離移動も含めた最適化や、出張費削減による福利厚生需要を取り込み観光産業にも貢献する構えだ。
Elalyは、家具の月額制レンタルサービス「airRoom」を手がける。京急との取り組みでは、分譲マンションの購入者向けにairRoomを最大10%オフで利用できるサービスを提供。withコロナではテレワーク関連家具パッケージを提供、afterコロナでは京急百貨店を通じて取り扱い商品の種類拡充を図り、長期的には京急グループのアセットやエコシステムと連携し、新たなライフスタイルの形を作り上げることを目指す。
COUNTERWORKSは、オンラインのスペースマッチングサービス「SHOPCOUNTER」、商業施設の顧客体験をデータ化し運営・収益改善につなげる人流分析サービス「adptOS」を提供している。商業施設のスペースを有効活用してポップアップストアを展開し、販売機会創出などの顧客支援、商空間のDX推進、ゆるやかな自粛が続く中での消費者の生活の質向上を目指す。
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