世界で多くの美術館が閉鎖されている今、多数の進取的な団体やギャラリーがオンラインでのデジタルな展示に取り組んでいる。だが、そうした展示は実物に匹敵するだろうか。
この疑問は、芸術だけでなく、より広い範囲に影響するものだ。技術者も一般的な消費者も長い間、拡張現実(AR)/仮想現実(VR)体験のリアルさという問題に取り組んでおり、AR/VR体験がリアルと同等になる日が来るだろうかという疑問を持っている。
美術館、観光地、文化的非営利団体などのためにモバイルアプリやデジタルな会員証、ARプラットフォームなどを提供している新興企業Cuseumが、この疑問に答えようとしている。その答えは、同社がARサービス「Museum From Home」の立ち上げに合わせて発表した研究結果を説明するのに役立つ。
Cuseumの創業者で最高経営責任者(CEO)のBrendan Ciecko氏は次のように語る。「批評家は長い間、芸術の展示、鑑賞、創造に与えるテクノロジーの役割と影響について論じてきた。これまで、現実世界と仮想世界での芸術体験に対する人間の脳の反応の違いについての実証的な研究はなかった。今日、人間がデジタル経由でどのように芸術を知覚し、反応するのかについての理解で新たな節目を迎えた。あらゆる形式で芸術に触れられるようにするためのサポートを続ける。この研究により、芸術をバーチャルな世界で体験しても、その“オーラ”は失われないことが裏付けられた」
10カ月にわたった研究は、芸術作品をリアルで鑑賞する際の神経学的知覚をAR、VR、デジタルのそれぞれのバージョンを鑑賞する際と比較することに焦点を当てたものだ。この研究は、マサチューセッツ工科大学(MIT)の神経科学教授、Pawan Sinha博士のアドバイスの下、神経科学者のチームによって行われた。研究者は、オリジナルの芸術作品に対する感情的な反応と、同じ作品のデジタル化したものへの反応を比較調査した。
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