新型コロナウイルスのパンデミック下でハッカーらによるサイバー攻撃が人命を危険にさらしているとして、赤十字社、複数の大手IT企業、元世界的リーダーらが米国時間5月26日、公開書簡で警告した。
書簡には、「この数週間の間に、COVID-19のパンデミックに最前線で対応する医療機関を標的とした攻撃を確認している。そうした行為は、これらの重要な機関の機能を阻害し、必要不可欠な備品や情報の展開を遅らせ、患者に対する医療提供を妨害することにより、人命を危険にさらしている」と書かれている。
この書簡には、赤十字国際委員会のPeter Maurer総裁、MicrosoftプレジデントのBrad Smith氏、サイバーセキュリティ企業KasperskyのプレジデントEugene Kaspersky氏のほか、メキシコ、ウルグアイ、スロベニア、ブラジル、ポーランドの元大統領らを含む世界的リーダーが署名している。
パンデミック下に医療機関を攻撃しようとする試みが急激に増加していることが、サイバーセキュリティ企業各社によって確認されている。3月には、ランサムウェアMazeを展開するハッカー集団が、COVID-19のワクチン開発に取り組む医療企業Hammersmith Medicines Researchに攻撃を仕掛けた。
医療機関は、簡単に利益を手に入れることを目的とした犯罪者だけでなく、国家主導のハッカーらの標的にもなっている。Donald Trump米政権は5月13日、新型コロナウイルスのワクチン開発に関する情報をハッキングして盗もうとしたとして中国政府を非難した。
こうしたサイバー攻撃は広範囲に及ぶが、それらに対する措置は限られている。赤十字社は、医療機関はサイバー攻撃に対して「特に脆弱」だと述べた。この問題は、以前から専門家らによって警告されている。
書簡では各国政府に対し、サイバーセキュリティ企業と協力して、病院や医療施設を標的とするサイバー攻撃への対策を強化するよう求めている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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