ディー・エヌ・エー(DeNA)は5月14日、2020年3月期の連結業績(2019年4月~2020年3月)を発表した。売上収益は1213億8700万円(前年同期比2.2%減)、営業利益は456億7600万円の赤字、最終損益は491億6600万円の赤字となった。大幅赤字の主要因としてゲーム事業に係るのれんの減損損失をはじめとした、減損損失を計511億6500万円を計上したことによるものとしている。
四半期ベース(第4四半期)では、売上収益は302億円(前四半期比17%増)、営業利益(IFRS)が15億円の赤字。季節変動の大きいスポーツ事業を除く売上収益は289億円(同23%増)、Non-GAAP営業利益は15億円(前四半期は29億円の赤字)としている。
主力のゲーム事業は、売上収益が237億円(前四半期比25%増)、営業利益は53億円(同166%増)。前四半期からは増収増益となっており、「グランブルーファンタジー」をはじめとする主要既存タイトルの周年イベントや、中国で配信している「スラムダンク」の立ち上がりが好調だったこと、「ポケモンマスターズ」におけるハーフアニバーサリーなどの各種施策が寄与したという。一方、2021年3月期第1四半期のセグメント利益については、季節性の反動により前年同期を下回る見通しとしている。
スポーツ事業は、売上収益13億円(前年同期比44%減)、営業利益は25億円の赤字。例年第4四半期ではプロ野球はオフシーズンとなっているが、新型コロナウイルス感染症の拡大によって、3月のオープン戦における収益がなかったことなど、影響を受けたところがあったとしている。
決算説明会で登壇したディー・エヌ・エー代表取締役社長兼CEOの守安功氏は、新型コロナウイルス感染症の拡大にともない、特に影響を受けるのはスポーツ事業と語る。現状では例年3月下旬より開幕となるはずのプロ野球の公式戦が開始に至っていない状況がある。守安氏は、仮に開幕したとしても無観客試合での開催や、観客の動員が限定的になる可能性も示唆し、興行や動員ができない状況下においては、2021年3月期について、プロ野球オフシーズン並みの四半期損益が続く可能性もあると説明した。
今後の方針については、「ゲーム事業の収益基盤の再強化」「新規事業領域における成長投資方針の最適化」「全事業・機能の見直しによる固定費の削減」を掲げる。こと2021年3月期については、スポーツ事業はは新型コロナウイルス感染症の影響を考慮する必要があるものの、ここを除いた領域について営業損益の反転を目指すという。
ゲーム事業については、新規タイトルリリースが2021年3月期の終わりから翌期にかけて豊富に予定していることもあり、2021年3月期については、既存タイトルが業績貢献の主体になる見通しという。
新規事業領域については、収益化への時間軸や蓋然性、各サービスプロジェクトの性質やフェーズ等を勘案し、「成長に応じた規律ある投資」「柔軟な資本政策・最良の座組みの選択」「ファンドを通じたインキュベーション」の3つの方針で整理し、規律をもった投資を行うという。そのなかでも、ライブコミュニケーションアプリ「Pococha」が順調に伸長しているとし、2021年3月期では投資をかけ、健全なKPIの成長継続と収益構造の確立を目指すとしている。
なお、2021年3月期の連結業績予想については、合理的な数値の算出が困難であるとして、開示を見合わせている。
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