非営利団体Internet Societyが、ドメイン名「.org」を管理する下部組織Public Interest Registry(PIR)をプライベートエクイティ企業のEthos Capitalに売却することを提案していた件で、ウェブアドレスを管理する非営利団体ICANNは、その提案を却下した。提示額は11億3000万ドル(約1200億円)と報じられていた。
Internet Societyはこの売却計画を2019年11月に発表していた。
これを受け、私企業の投資会社であるEthos CapitalはInternet Societyほど公益性を重視しないのではないか、との懸念の声が上がった。PIRには1050万以上の.orgドメイン名が登録されており、それらは主に赤十字、国境なき医師団、国際連合(UN)などの非営利団体によって使われている。
ウェブの生みの親であるTim Berners-Lee氏は当時、.orgドメイン管理団体が公共の利益のために行動することを要求されなくなれば、本来の意図がねじ曲げられることになると訴えた。
もう1つの懸念は、Ethos Capitalが3億6000万ドル(約380億円)のタームローンによって、買収金額をまかなおうとしていたことだ。そのため、株主を満足させるために、同社は登録料金を1年に10%以上値上げすることはないとの約束を反故にするのではないか、という懸念の声もあった。
ICANNの理事会は、売却を拒否する決定についての声明の中で、これらの懸念に概ね同意した。
「3番目に大きいgTLDレジストリの将来に許容できない不確実性をもたらすさまざまな要素があるので、公共の利益を守るためには、売却に同意しない方がいいとICANN理事会は判断した」(ICANN)
この売却は「基本的な公共性を帯びたPIRから、法人の利害関係者の利益に資する義務がある企業への移行」を意味する、とICANNは述べた。
「3億6000万ドルの債務証書により、PIRはその債務の利息を支払い、株主に利益を提供することを余儀なくされる。そのため、.org登録者はどのように保護されるのか、この売却は.org登録者の利益になるのか、といったことについて、さらなる疑問が生じる」(ICANN)
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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