公正取引委員会は3月10日、楽天の送料無料化施策「共通の送料込みライン」について、先日の全面スタート撤廃を受け、東京地方裁判所への緊急停止命令の申し立てを取り下げると発表した。
共通の送料込みラインは、3980円以上の注文で送料無料になるという施策。2019年8月に発表して以来、賛否さまざまな意見が出ており、楽天市場出店者で構成される楽天ユニオンは、送料分を価格に上乗せする形になり店舗側の負担が増えると主張。一方で、3月5日に発足を発表した、別の出店者で構成される「楽天市場出店者 友の会」では、競合に立ち向かうために送料無料化が必要との立場を取るとされている。
同委員会では、共通の送料込みラインが独占禁止法第2条第9項第5号八「優越的地位の濫用」にあたるとし、2月10日に楽天への立ち入り検査を実施。その後、同法第19条の規定に違反すると判断。施策が3月18日での開始を予定していたため、「排除措置命令を待っていては、侵害された公正かつ自由な競争秩序が回復し難い状況に陥る」とし、2月28日に楽天に対して緊急停止命令を東京地方裁判所に申し立てていた。
しかし、楽天では「1月ごろから新型コロナウイルスの感染拡大により、出店者からスタッフの確保が難しく、(送料込みラインの)準備が追い付かないなど不安の声を複数頂いていた」とのことから、施策の一律開始を延期(友の会も新型コロナウイルスの影響で延期を訴えていた)。準備が整った店舗のみで3月18日に施策を開始すると発表した。
これを受けて公正取引委員会では、「出店事業者が参加するか否かを自らの判断で選択できるようになるのであれば、当面は、一時停止を求める緊急性が薄れる」と判断。東京地方裁判所への緊急停止命令の申し立てを取り下げた。ただし、違反被疑行為に対する審査については継続するという。
なお、店舗側のシステム自体は3月18日にリニューアルされ、送料込みラインの機能自体は全店舗に実装される。送料無料化を無効にするには、専用フォームから申請することで解除となる。楽天では、全面開始のタイミングについて「新型コロナウイルスの収束次第」としつつも、5月に今後の方針を発表する予定だ。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」