米オンライン小売最大手のAmazonは米国時間3月9日、「Just Walk Out」と名付けたレジなし決済技術を他の小売業者に提供していくと発表した。買物客が手にとった商品をレジを通らずに購入できるこの技術は、同社の「Amazon Go」店舗で利用されているもの。
Amazonは、Just Walk Out用のウェブサイトを立ち上げ、顧客がレジを通らずに買い物できる快適性を宣伝し、同時にこの技術に関心を持つ小売業者に詳しい情報を提供している。Just Walk Outは、コンピュータービジョンやセンサーなどの技術を組み合わせて、買物客が棚からどの商品を取り出したかを検出し、それらを仮想カートに入れて追跡するもので、同社によると、「たった数週間で」店舗に導入できるという。
この技術は、Amazonが2016年にAmazon Goの最初の店舗をオープンしたときに初めて登場した。Amazon Goは、スナック、飲料、惣菜などの売れ筋商品を販売するレジなしコンビニエンスストアだ。Amazonはこれまでに、20店舗を超えるAmazon Goを全米各地の都市部に開店しており、また2020年2月にはシアトルに7700平方フィート(約216坪)の「Amazon Go Grocery」を開店した。Amazon Go Groceryでは、野菜や果物などの生鮮食品がレジを通らずに購入できる。
Amazonは、複数の顧客とこの技術で契約していると報じられているが、具体的な小売業者の名前などは明らかになっていない。
Amazonは、買物客にとって迅速で便利だとしてこの技術を宣伝しているが、一方にはこれが人間の仕事を奪うものだとする批判もある。
「このいわゆるレジなし技術は、Amazonが競合する小売業者を支配して独占状態を築くことを可能にするトロイの木馬以外の何物でもない」と、全米食品商業労働組合(UFCW)のMarc Perrone委員長は9日付の声明のなかで述べている。「Amazonが米国の小売分野で働く1600万人の仕事に対する直接的な脅威であり、これができるだけ多くの良い仕事をなくしてしまおうとする非情な戦略の一環であることに疑いの余地はない」(Perrone委員長)
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」