Appleが「iPhone」最新機種の購入を促すために旧機種に性能制限をかけていたとして訴えられていた集団訴訟で、同社が最大5億ドル(約541億円)の和解金を支払うことで合意したことが明らかになった。この問題では2017年に「iOS」のアップデートにより一部の旧型iPhoneで動作が遅くなるとAppleが認めたことで、同社に対する批判の声が上がり、また一部のユーザーが訴訟を起こしていた。
Appleは当時、この件で透明性が欠如していたことを謝罪するとともに、ソフトウェアのアップデートやバッテリ交換費用の減額などの対応策を講じていた。ただし、性能制限自体については、バッテリの劣化や低温下での使用が原因で、特定のタスクの実行中にiPhoneが自動的にシャットダウンするのを防ぐための措置であるとの主張は譲らなかった。それに対し、ユーザーなどの間からは、AppleがiPhoneユーザーに対してひそかに新機種の購入を促し、利益を得ようとしているとする批判の声が上がっていた。
米国時間2月28日に公開された和解案は、Appleに対して、iPhone1台につき25ドルを消費者に支払うことを求めている。この金額は対象となる端末台数によって調整されるが、合計支払金額には最小3億1000万ドル(約336億円)という条件が付されている。また支払いの対象となるのは米国のiPhoneユーザーで、バージョン12.2.1以降の「iOS」で動作する「iPhone 6」「iPhone 6 Plus」「iPhone 6S」「iPhone 6S Plus」「iPhone SE」を現在所有しているか、または過去に所有していたことがある消費者。2017年12月21日以前に「iOS 11.2」以降を搭載する「iPhone 7」または「iPhone 7 Plus」を所有していたユーザーも対象となる。
「この和解は、Appleユーザーの苦痛を大いに緩和し、またこれをきっかけに、今後製品のアップデートが求められる場合には、顧客に十分な情報が与えられることになるだろう」と、原告側の共同主任弁護士を務めるJoseph Cotchett氏は3月2日付けの声明に記している。
Appleは、本件において不正はなかったとしている。2日に同社にコメントを求めたが、回答は得られなかった。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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