Mozillaが、すべての米国ユーザーを対象とした「Firefox」のプライバシー機能のデフォルト有効化を開始した。この機能により、ISPなどによるユーザーのオンライン活動のトラッキングは難しくなるはずだ。「DNS over HTTPS(DoH)」と呼ばれるこの技術は、重要なインターネットアドレッシング技術を暗号化によって保護するもの。
数カ月にわたるテストを経て、Mozillaは米国時間2月25日、すべての米国ユーザーを対象としたDoHの有効化を開始した。問題がないか確認しながら段階的に有効化を進め、数週間かけてFirefoxの全米国ユーザーに対する有効化を完了する予定だ。
データ流出、日常生活のデジタル化、FacebookのCambridge Analyticaをめぐるスキャンダルなどの問題から、ハイテク業界はプライバシーを重視する方向に進んでおり、DoHはその流れに沿っている。Mozillaは長い間プライバシーを推進しており、Appleはプライバシーを最優先項目の1つに定めている。ウェブ上でユーザーを追跡してオンライン広告で収入を得る大手企業のGoogleやFacebookでさえも、世の中の風潮に合わせようと努めている。
オンラインプライバシーを推進する非営利組織、電子フロンティア財団(EFF)でエンジニアリングディレクターを務めるMax Hunter氏は2019年9月、「DNS over HTTPSは、ウェブ上のプライバシーの最も大きなギャップの1つを埋める可能性がある」とブログ記事で述べていた。
Mozillaが他社に先駆けて導入したDoHは、DNSアドレスルックアップを暗号化してシールドし、改ざんから保護するものだ。Googleの「Chrome」チームや、プライバシー重視のブラウザメーカーBraveの支持を得ている(一方で、Mozillaを「Internet Villain」(インターネットの悪党)と非難したことのある英国のISP業界団体は、これに反対している)。
しかし、DoHは後退だと危惧する声もある。DoHを批判する著名人としては、DNSの開発に携わったPaul Vixie氏や、「PowerDNS」ソフトウェアを開発したBert Hubert氏などがいる。DoHによって、DNSのアクティビティが集中化される可能性や、ユーザーのオンライン活動を追跡するための新しい方法が企業に与えられる可能性が、懸念として挙げられている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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