軍事用ロボットは頑丈であることが極めて重要だ。したがって、米国防高等研究計画局(DARPA)が主催するロボットコンテスト「Subterranean Challenge」(地下チャレンジ)に挑む最新のマシンが強靭であることもうなずける。
親しみを込めて「DARPA SubT」と呼ばれるこの競技会では、ロボットを想像可能な最も過酷な環境の1つである地下に送り込む。この競技会は、地下のトンネルや洞窟を動きまわり、マッピングする能力を持つ次世代軍事用ロボットの開発を促進する目的で開催されている。この取り組みは、インフラの検査、災害救助、採掘など、人間の到達が難しい場所に展開できるシステムに向けたロボット開発という、より広範なトレンドに沿ったものだ。
私は最近、この競技会に参加するチーム「Explorer」のメンバーの話を聴いた。SubTに参加する11チームの1つで、カーネギーメロン大学とオレゴン州立大学の共同チームだ。次の競技会は、建設が中止されたまま残されている原子力発電所の奥深くにロボットを送り込むという探索救助シナリオだ。ロボットは、発電所内の複数の階とオープンスペースを探索し、バックパック、携帯電話、生存者を含む複数の指定されたアイテムを探し出さなければならない。
Explorerチームは、2019年8月に行われた最初の競技会「Tunnel Circuit」(トンネルサーキット)で首位に立った。だが、SubTの難しいところは、各競技がかなり違う点だ。
Sebastian Scherer氏とともにチームを率いるMatt Travers氏は次のように語った。「複数階にわたる多様な空間の探索には、新たな装備や探索戦術が必要だ。前回のトンネルでの探索では、すべての指定アイテムがロボットが動き回るルートの近くにあった。発電所は広いので、アイテムを見つけるのはより困難になるだろう」
階段も大きな課題だ。
Travers氏は「階段は車輪付き車両にとって非常に困難な課題だ」と語った。同氏はカーネギーメロン大学ロボティクス研究所のシステムサイエンティストだ。
Explorerチームのロボットは500ポンド(約227kg)の車両ロボットを操作している。このロボットでの階段の昇降は非常に難しく、複雑さをはらんでいる。そこでチームは、階段昇降を可能にするために、重量がその半分でパワーは同じ3台目の車両を追加した。
Explorerチームはさらに、狭い空間を飛べるよう設計したドローンも操作する。
ロボティクス研究所の准研究教授であるScherer氏は「ドローンは室内を飛べるよう、ゼロから設計した」と語った。通常はドローンの4隅上部に設置するローターを下にし、さらにそれぞれを近づけることで、幅をわずか26インチ(約66cm)にした。
ドローンはバンパーも装備する。ドローンは車両より早くバッテリー切れになるため、出番が来るまで車両ロボットの背中で待機する。
ExplorerチームのスポンサーにはMicrosoft、Honeywell、エプソン、Richard King Mellon Foundation、CNH Industrialが名を連ねる。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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