Netflixは、これまでに世界各国の政府から要請を受けて配信を停止した番組や映画を明らかにした。同社が米国時間2月9日に公開したレポート「Environmental Social Governance」によると、10年以上前にサービスを開始して以来、政府の要請によって配信を停止したコンテンツは9本しかないという。
2019年に配信停止の要求があったコンテンツは2本だけだった。1つは、コメディアンHasan Minhaj氏のトーク番組「ハサン・ミンハジ:愛国者として物申す」のうち、Mohammed bin Salman皇太子の政治体制を批判した1本で、サウジアラビアでの配信が停止された。もう1つは、Martin Scorcese氏が監督した1988年の映画「最後の誘惑」で、シンガポールで配信が停止された。この映画は、同国で上映が禁止されている。
「ハサン・ミンハジ~」の配信を停止した際には、Netflixの姿勢に対して厳しい批判の声が向けられた。この番組では皇太子だけではなく、イエメンにおけるサウジアラビアの軍事介入や、ジャーナリストJamal Khashoggi氏の殺害に対する同国の関与についても批判していた。サウジアラビアの規制当局は同番組がサイバー犯罪法に抵触すると申し立て、それを受けてNetflixはこの番組の配信を停止した。
Netflixは2020年に入って既に1本のタイトルを削除している。シンガポール当局から書面による要請を受け、同国で「The Last Hangover」を削除した。
ほかに削除された作品は以下の通り。
「ハサン・ミンハジ~」に関するNetflixの決定を批判する人々は、この動きを圧政的な政権におもねる検閲だと見なしたが、同社の最高経営責任者(CEO)を務めるReed Hastings氏は、Netflixは配信停止について特に思うところはないとしており、11月に「当社はニュース事業をしているわけではなく、権力者に真実を突きつけようとしているわけでもない。人を楽しませようとしているのだ」と述べた。
その数日後、Netflixで番組編成の責任者を務めるTed Sarandos氏はHastings氏の発言について釈明した。Sarandos氏は、Paley Centerで開催されたイベントで、「エンターテイメントはすべて権力者に真実を突きつけるものだ」と述べた。同氏は、Hastings氏の「言葉の選択」が間違っていたかもしれないとしながらも、Netflixは世界各国のコンテンツに関する法律に対応していく必要があると主張した。
Netflixは政府の配信停止要求を拒絶したこともある。2020年の初め、ブラジルの判事は特別番組として配信されたコメディ「The First Temptation of Christ」について、イエスを同性愛者として描いているとして、Netflixに配信の停止を命じた。Netflixは控訴。ブラジルの最高裁判所は裁定を覆し、同プログラムの配信継続を認めた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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