ビジネス版LINEとしてサービス名を変更して3周年を迎えたビジネスチャット「LINE WORKS」のカンファレンス「2020 LINE WORKS DAY」が1月30日に開かれた。ワークスモバイルジャパン代表取締役の石黒豊氏がこれまでの歩みを振り返った後、新たな出張支援サービス「LINE WORKS トラベル」を発表した。
LINE WORKS トラベルは、トークで出張手配を完結できるサービスだ。遅い時間帯や時差がある地域でも、出張手配や変更が手軽にできる。
カンファレンスに登壇した、ワークスモバイルジャパン マーケティング本部長の増田隆一氏は、「移動、宿泊、食事。旅先に出てしまえば旅と同じだが、社内規定に沿った手配や出張後の精算など、出張には旅とは異なる手間が多い。チャットボットのテクノロジーを使って解決を試みた」(増田氏)とサービス開発の背景を説明した。
LINE WORKS トラベルが特に役立つのは出張前と出張後だ。宿泊予約、交通予約はトーク画面からチャットボットを呼び出し、条件を選択してタップするだけで手配を完了できる。経費清算システムに自動的にデータを流せる機能を備え、代表的なSFAとの連携でトークの中から出張報告もできるようになるという。
LINE WORKS トラベルの真価が発揮されるのは海外出張だという。たまにしか行かない不慣れな土地で、失敗が許されない緊張をともなうのが一般的だが、これを楽しい出張に変えてくれるというのだ。
LINE WORKS トラベルでは、チケット予約と同時にWi-Fiも手配できる。グローバルWiFiの協力を得て、世界200以上の国と地域をカバー。データ無制限のお得な契約も検討中だ。突然の帰国やエリア移動にともなう予約内容変更には、損保ジャパン日本興亜と連携し、発生する費用を保障の範囲内にするという。レストラン予約では、たびらくの協力の下、長期日本人駐在者が厳選した店から予約でき、世界35都市に対応予定だ。
すでにLINE社内で先行して、海外出張手配のトライアルを実施したところ、「ネイティブ言語が異なる相手とのトークで、直下に翻訳が表示されるLINE WORKSの機能がそのまま使えて便利」というコメントもあり、評判は上々らしい。
今後の展開は、「梅雨頃にベータ版のテスト実施、夏頃に有料プランを提供開始、紅葉が終わる頃には無料プラン提供開始を見込んでいる」(増田氏)という。
「出張を楽しめるような形に変えていきたい」として、新サービスを発表したLINE WORKS。“仕事、楽しい”を広げることをミッションとし、「Message、Mobile、Easy(メッセージ中心、スマホ重視、誰でも簡単に使える)」をプロダクトコンセプトとして、ビジネスコミュニケーションの課題に向き合ってきた。
導入社数は10万社、ユーザー(外部連携先のLINEユーザー数)は237万人を突破。2年連続でビジネスチャット市場シェアNo1を記録した。背景には、2019年10月のDropbox との連携や、12月のマルチアカウント実装をはじめとする、地道な取り組みがあるという。
実際、LINE WORKSは社内のみならず、取引先や顧客など社外コミュニケーションにも活用されており、成約率やリピート率、売上がアップした、コミュニケーションからワークスタイルが変わり生産性が向上したなど、“仕事、楽しい”を「体感」したという声が、数多く報告されているという。
「仕事は、コミュニケーションなしにはできない。何のためにコミュニケーションをより良くしたいのか、その先にあるビジネスゴールまで共有しながら、同じ方向に向かっていきたい」(石黒氏)。
石黒氏はビジネスコミュニケーションツールの重要性に触れたうえで、固定電話やFAXを使ったり、ホワイトボードで外出管理を行う企業も、日本全国を見渡すとまだまだ多いという現状を指摘。「接客や店舗運営、建設現場などで、普段ITと呼ばれるものをあまり使ってこなかったけれど、これなら使えそうという利便性、ユーザビリティをもっと追求したい」と、今後の展開に意欲を見せた。
同日、LINE WORKSのさらなる機能強化として紹介されたのが、他社ツールとの連携だ。LINE WORKSではすでに50を超えるツールと連携。おはようと書けば打刻される、スタンプ送信で安否確認ができるなど、業務が楽になったと感じる利用者は少なくない。
しかし、同社執行役員の福山耕介氏は、日本の企業について「1つの事業所で導入しているITツールの数は、世界で2番目に多いのに、労働生産性はG7で最下位だ。ITツールバラバラ化問題が起きている」と指摘。今後は、「LINE WORKSのトーク画面から、全ての業務を完結できる」世界を目指すとした。
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