Appleのサプライヤーや店舗が、世界各地で猛威を振るう新型コロナウイルスの影響を受けている。最高経営責任者(CEO)のTim Cook氏は米国時間1月28日、ウイルスの発生源である武漢にも同社のサプライヤーが存在すると述べた。代替調達先があり、「予想される減産を埋め合わせるための緩和計画に取り組んでいる」という。
新型コロナウイルスが中国の他の地域のサプライヤーにどのような影響を与えるかについては不透明だと、Cook氏は述べた。中国政府は1月30日までだった春節休暇を2月10日までに延長しており、それによってApple向けサプライヤーの工場の稼働開始が遅れる予定だという。
同氏は記録的業績を発表した後のアナリストらとの電話会議で、「新たに出現した状況であり、当社はまだ多くの情報を収集して状況を注視している」と語った。また先週末の時点で、影響を受けている地域への従業員の出張を「ビジネスに不可欠な場合」のみに制限したという。
また同社は新型コロナウイルスへの対策として、中国にある直営店の1つを休業した。「多数の」小売パートナーも店舗を休業していると、Cook氏は述べた。さらに「営業を続けている店舗も、多くが営業時間を短縮している」と述べ、従業員と顧客のために細心の予防策を講じているとした。店舗の清掃回数を増やし、従業員の体温をチェックするなどして、健康状態の維持を図っているという。
Appleは、サプライヤーと客足への影響の可能性を織り込んで、1-3月期の売上高ガイダンスを630億~670億ドルと、通常よりも幅をとって示した。影響の可能性を加味しても、Appleの予測は、624億5000万ドルというアナリストらの予測よりも高かった。
ここ数年で、中国はAppleにとって特に重要な市場になった。2015年初頭に、中国は米国を追い抜いてAppleにとって最大の「iPhone」市場となった(その後は米国が再び最大となっている)。10-12月期に、Appleの大中華圏での売上高は前年同期比で3.1%増加し、136億ドル(約1兆4800億円)となった。これは地域別の売上高では米州と欧州に及ばないものの、この四半期には一部の製品分野で売上高が急増した。
Appleは同四半期に中国本土のiPhone事業で2ケタの成長を計上したと、Cook氏は報告した。これは最近の数四半期の不振を打ち破る結果だ。さらに、「App Store」などのサービス事業も、中国では2ケタの成長を記録した。さらに「Apple Watch」と「AirPods」をはじめとするウェアラブル事業に関しては、「極めて好調な2ケタ成長」を達成したという。
「顧客の反応が良い製品という点では、iPhone 11が特に好調だ」とCook氏は述べた。
Appleは中国で多くのデバイスを販売する一方で、もう1つの重要なルートでも同国と結びついている。Appleは自社のスマートフォンに関して、設計は米国で行っているが、デバイス自体の組み立ては中国で行われている。同社の従業員の多くは中国とカリフォルニア州クパチーノにあるApple本社を頻繁に往復している。中国での生産が減少すると、世界中でiPhoneをはじめとするAppleのデバイスが供給不足に陥る可能性も出てくる。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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