日本HPは1月21日、東京都内で事業説明会を開催し、2019年の実績を振り返るとともに、2020年の展望について説明した。
日本HP代表取締役 社長執行役員の岡隆史氏によると、HP全体の2019年度の売上げは6.4兆円、利益は4700億円を確保し、PC事業は日本だけでなく全世界で堅調に推移したという。ただ、ペーパーレスの浸透を背景としたプリンター事業などマイナス要因がいくつかあり、成長率は2%にとどまっている。
そういった中、HPはペーパーレスが今後さらに進んでいくと予測しており、新たな成長分野を作っていくために、3Dプリンターを核としたデジタルマニュファクチャリングやセキュリティのサービス化といった部分を新たな事業のコアとして成長させ投資を加速しているという。そして、「事業活動に加えて社会への貢献などが総合的に評価され、ニューズウィークによる”米国で最も責任ある企業”に選ばれるとともに、サプライヤーとの健全な取引形態なども評価された1年だった」と語った。
日本の事業については、中核事業であるPC事業において、年間のブランド別国内PCシェアで初めてNo.1を獲得するとともに、17期連続で市場を超える成長率を達成、企業向けPCは4期連続でNo1を獲得するなど、2019年は非常に堅調に推移したという。たとえば、PC事業では、日本から強く働きかけて完成した、グローバルPCベンダーとして初となる重量が1kgを切るノートPC「Elite Dragonfly」を発売するとともに、今後の核となるセキュリティ分野の新たなサービスやツールの展開をスタート。デジタル印刷の世界では、アナログではできないワークフローを自動化する仕組みをソフトウェア、ハードウェア双方で提供するとともに、これまでタッチしてこなかったテキスタイル市場へ参入。また3Dプリンター事業では、量産用の製品に加えてプロトタイプ用の低価格製品も提供を開始し、ラインアップを拡張している。
2020年は、日本だけでなくグローバルでメガトレンドへの対応を加速していくとし、「この先、明らかに見えている世の中の変化によって、どうビジネスが変化して行くかを先読みし、それに対応するにはどういったテクノロジーが必要で、どう貢献できるかを推察しながら新たなテクノロジーやサービスを提供していくという戦略的な考えのもと、サステナビリティ、パーソナライズ&オンデマンド、モビリティ&セキュリティといった分野に力を入れていく」と岡氏は説明した。
事業別では、HPの中核的事業であるPCおよびプリンター事業では、マーケットが人口に比例するため市場の大きな成長は難しいとしつつも、新たな製品を投入するなどしてシェアを拡大することで成長する余地があると指摘。また、HPが戦略的に市場を作っていこうと取り組んでいる商業・産業用のデジタル印刷や3Dプリンター分野は、現在に市場規模は6兆円ながら、将来は55兆円規模へと成長すると予測しており、そこに集中投資する計画だという。
合わせて、今後は企業にサステナビリティ(事業持続性)が求められるとし、HPとしても戦略的に注力していくという。例えば、HPでは2025年までにPCとプリンティング製品において全体の30%で再生プラスチックを使用するという目標を掲げ、2018年末でその目標の23%を達成(7%の再生プラスチック利用)している。また、WWF(世界自然保護基金)と提携し、20万エーカーの森林の再生、保護、保全を行うとともに、HPのテクノロジーをベースとして森林保護の研究にも取り組んでいくとした。
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