続いて、事業別に2020年の展望が示された。PC事業については、2019年までと同様に、ユーザー体験を再定義していくという基本戦略は変わらないとしつつ、中でも若者世代へ注力していくという。
Z世代と呼ばれる、1990年代後半以降に生まれた若者の間で、近年PCの利用が拡大しているという。Z世代の若者は、毎日10時間以上をオンラインに費やす中で、どこでも視聴や閲覧できるという点を重視するとともに、多数のデバイスを所有して使い分けたり、環境に優しい商品を選択する可能性が高いとこのとで、そういったニーズを汲み取った製品を開発するとともに、それを支える周辺機器やコンテンツ、サービス、ソフトウェアなどの提供を加速することで、製品を最大限使ってもらえるようにしたいとする。
この他、セキュリティを強化した製品や、クリエイターのニーズに沿ったPC、学習用PC、ワークステーションの配置を変えるような”センタライズワークステーション”を提供していきたいとした。合わせて、米国で成功しているchromebook製品を2020年内に日本に投入すると表明するとともに、CES 2020に合わせて発表した新モデルも投入し、新しい体験と顧客生涯価値を最大化していくとした。
デジタルプレス事業においては、今後高い成長が期待されるグラフィックス市場へ注力し、テキスタイル市場への参入によるデジタル適用範囲の拡大、印刷業界のデジタルトランスフォーメーションの推進、印刷物特有の価値をデジタル化によって再定義する、という3つの柱で取り組んでいくという。
テキスタイル市場では、ファッションやスポーツウェアといった分野で急速なデジタル化が進んでおり、高速で正確な色合わせや印刷プロセスの簡素化を実現した「HP Stitch」によって市場を拡大する。
出版業界のデジタル化については、世界のインクジェット書籍はすでに月産80億ページに達し、年率15%で成長しているという。HPの高速インクジェットデジタル輪転機「PageWide Web Press」は、この分野で75%のシェアがあるとし、今後はオンデマンドによる書籍のデジタル印刷によって書籍出版の短納期化と在庫圧縮を実現し、出版業界の新しいビジネスモデルを確立したいとする。また、ダンボールにデジタル印刷の技術を使い、カラフルな印刷を施すことでブランディングやマーケティングを変革するとともに、偽造防止やトレーサビリティも実現し、ブランド企業のビジネスモデルを変革したいという。
そのうえで、生分解性プラスチックへの印刷など環境対応印刷物の拡大や、「PrintOS」によるプロセスやデザインの自動化で爆発的に増えるデジタル印刷に対応、新しいインキの利用を通して印刷物の新しい体験の創出などに取り組むという。
3Dプリンティング事業では、サービスビューローとの取り組みの強化、アライアンスパートナーとの共同提案の推進、最適設計(DfaM)の認知拡大、という3つを柱として、国内製造業のデジタルマニュファクチャリングをさらに推進していきたいとする。
現在日本では、4社のサービスビューローと提携しているが、製造業者はそれらサービスビューローで品質を確認したうえで3Dプリンターを導入するという流れが主になっていることから、今後もサービスビューローとの取り組みを強化していくという。また、デロイトトーマツコンサルティングと共同で「3Dプリンター適合性診断プログラム」の提供を開始し、Jet Fusionシリーズの製造現場への本格導入を支援したいという。さらに、3Dプリンターによる最適設計によって、射出成型と比べて部品の性能を高められるだけでなく、3Dプリンターの効率も大きく高められるといったメリットを製造業者に認知してもらう活動も実施していきたいとした。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
OMO戦略や小売DXの実現へ
顧客満足度を高めるデータ活用5つの打ち手
パナソニックのV2H蓄電システムで創る
エコなのに快適な未来の住宅環境
企業や自治体、教育機関で再び注目を集める
身近なメタバース活用を実現する
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」