Facebookの1年--問題は山積みでも、より強力に - (page 2)

Queenie Wong (CNET News) 翻訳校正: 編集部2019年12月30日 07時30分

おなじみの問題

 Facebookは世間にも規制当局にも、心を入れ替えたことを信じてほしいと考えている。

 この1年、同社は長く待ち望まれていたプライバシーツールを提供し始めた。このツールは、ユーザーがアプリやウェブサイトを通じてFacebookに提供している自分のアクティビティ情報を確認するものだ。立ち上げに1年以上かかったFacebook以外でのユーザーアクティビティに関する機能には制限がある。このツールでユーザーはFacebookのアカウントをサードパーティーによる共有と切り離せるが、既に収集された情報を削除することはできない。

 差別的なターゲティング広告への批判を受け、Facebookは住宅、求人、ローンに関する広告での年齢、性別、郵便番号に基づくターゲティングを禁止すると発表した。同社はまた、 Facebook MessengerとInstagramのメッセージ機能で、メッセージを送受信する当事者以外が内容を読めないようにトラフィックを暗号化する作業を進めている。

 こうした取り組みにもかかわらず、Facebookは多数の問題に直面し続けており、批評家たちは同社は本当に改心したのだろうかと疑問視している。2016年の米大統領選の後、Facebookはロシアの組織が米国民を分断させる目的で同社のサービスを悪用したことを明らかにした。「人々をより密に繋げる」ことを標榜する同社は、民主主義を害し、サービスの悪用を許したとしてたびたび責められた。

 2019年も同じだ。FacebookはNancy Pelosi下院議長の改変動画の削除要請を拒否した。この動画は、同氏のろれつが回っていないように見せるものだ。この動画をすぐに削除したYouTubeと異なり、Facebookは動画を削除しなかった。ただし、ファクトチェッカーがこの動画が虚偽であると判定した後、動画が拡散しないようにはした。Zuckerberg氏はこの決定を弁護したが、もっと迅速に動くべきだったことは認めた。政治家による広告はファクトチェックしないという決定に対して批判が高まった時も、Facebookは守りに入った。このポリシーは同社の経営陣と従業員の間にも亀裂を生んだ。Facebookの取締役でDonald Trump大統領の支持者でもあるPeter Thiel氏はこのポリシーの継続を望んでいるが、同社は広告ターゲティングの制限を含むポリシー変更を検討していると、The Wall Street Journallが12月17日に報じた。

 Zuckerberg氏はいつものように、表現の自由を守っているのだと語った。同氏は10月、ジョージタウン大学での約40分間のスピーチで、「テクノロジー企業が100%真実だと判定したことしか投稿できないような世界に住みたい人などいないと思う」と語った。

 Facebookを取り巻くプライバシーと安全性の問題も収まっていない。ユーザーの音声データを聞いてそれをテキスト化する作業について、Facebookの請負業者が倫理的な懸念を持っているとBloombergが報じた。Facebookはユーザーに、第三者が音声データを聞くことを開示していなかった。同社はこの作業を終了した。請負業者の仕事は、Facebook Messengerの機能である音声チャットのテキスト化に使うAIシステムの精度をチェックすることだった。また、The New York Timesの調査で、幼児性愛者がFacebook Messengerを使って幼児の性的虐待画像を共有していることが明らかになり、Facebook Messengerを暗号化する計画に対する懸念が高まった。さらにクライストチャーチでの51人銃殺のライブストリーミングは、同社のツールがヘイト拡散に悪用される可能性を思い出させた。

 Facebookにコメントを求めたが、返答はなかった。

解決策の模索

 Facebookの問題が増え続けるにつれ、政治家と規制当局は同社の力を押さえ込む方法を探している。

 米民主党の大統領候補戦に出馬中のElizabeth Warren上院議員、Facebookの共同創業者のChris Hughes氏などが連邦政府に対し、FacebookからInstagramとWhatsAppを引き離すよう呼び掛けた。FTCはFacebookが競争を避けるために競合を買収した疑いで同社を調査していると、The Wall Street Journalが報じた。

米大統領候補のElizabeth Warren氏は、Facebook、Amazon、Googleの解体を求めている
米大統領候補のElizabeth Warren氏は、Facebook、Amazon、Googleの解体を求めている。
提供:Getty Images

 Facebookはこの考えに反発し、企業解体では問題は解決しないと主張した。さらに、解体すればすべてのサービス横断で取り組んでいる、スパムや選挙干渉、犯罪と戦う努力を妨げる可能性があるとした。

 米議員はまた、消費者が自らの個人データをより細かく管理できるようにすることを目的とした新たな連邦プライバシー法を提案している。

 ニューヨーク大学の法学教授、Harry First氏は「現行法の下では法的問題があり、新法を通過させられるかどうかは、これまでの政治的行き詰まりを解消できるかどうかにかかっている。何かをなすべきだという、かなり超党派的な合意があることは確かだ」と語った。

 Zuckerberg氏は、Facebookは規制に従うと語った。同氏は3月、The Washington Postに寄稿した文章で、政府と規制当局に対し、有害コンテンツ、選挙の完全性、プライバシー保護、データの移植性に関して「より積極的な役割を果たす」よう求めた。

 ジョージタウン大学ローセンターのVladeck教授は、議会はこれまで、イノベーションの妨げになるかもしれないという懸念のため、プライバシー法の追加に慎重だったと語った。

 「議会は、米国経済で最も活況だと考えられていた業界を混乱させることを恐れた。この業界が盛りを過ぎたとはいえ、懸念は残っている」(Vladeck氏)

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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