リノべるとNTT都市開発が業務提携を結んだ。NTTグループが保有する遊休資産などの利活用を推進するほか、分譲マンションなどで、ICTを活用した新たな商品、サービスの開発を目指す。
リノべるでは、11月18日に資金調達の実施も発表。NTT都市開発などから約40億円を調達する。同社は2016年に東急株式会社(旧:東急電鉄)、2017年には三井物産、静岡銀行と資本提携を結んでおり、シリーズEラウンドとしている。
今回の資金調達を受け、中古住宅流通とリノベーションのプラットフォームの強化に向け、人材の採用、育成に活用などを推進していく計画。ベンチャーを含む関連企業への投資や、業界特化型SaaS等の開発体制の強化、ITエンジニア、建築業界の技術者・多能工(職人)の採用などを見据える。
リノべるは、2010年に創業。中古不動産におけるリノベーションを、物件探しから設計、施工までワンストップで提供することが特徴で、「新築に比べ、3分の2の価格で住まいを手に入れられる。間取りはもちろん、配線や配管もすべて変える。築50年のマンションでも中身は新品になる」(リノベる 代表取締役の山下智弘氏)ことが魅力だ。
「ユーザーにとっていい自宅購入の仕方。しかしビジネス的に儲かりにくいと言われている。リノベるでは、テクノロジーを活用することで生産性を高め、昨年度は黒字化を達成。しかし現状に満足せずに、さらなる大きな市場を狙おうとしている。それは1社では取り込めない。今後は、金脈を掘りに行くスコップを売る側に回りたい」(山下氏)とコメント。不動産会社や設計事務所をマッチングするためのマーケットプレイスを提供するほか、工務店向け現場管理ツール「nekonote(ネコノテ)」やローンソリューション「モゲリノ」といったシステムの普及に努める。
業務提携を結んだNTT都市開発は、NTTグループ唯一の総合不動産会社。オフィスビルを中心に事業を展開してきたが、昨今ではホテルやリゾート、商業施設、住宅などに領域を拡大している。
賃貸住宅1棟をリノベーションして分譲マンションとして販売したり、小学校の跡地をホテルにコンバージョンしたりするなど、「土地、建物を長く使う事業を展開している」(NTT都市開発 経営企画部経営企画担当 担当部長の浜地健二郎氏)と話す。
「新築から中古へとニーズは多様化してきている。建物自体も長く使えるものもあり、フレキシブルに対応していきたい。ソリューションとしてリノベーションとコンバージョンがあり、用途を変えることが必要だと考え、リノベーション分野で豊富な実績とノウハウを持つリノベると提携した。両者の強みを活かしながら、地域貢献を果たしていきたい。住宅だけではなく、オフィスなど幅広い事業分野で提携したい」(浜地氏)とコメントした。
現時点で決定している案件はなく、今後詳細をつめていくとのこと。山下氏は「NTTグループには面白い、魅力的な不動産がたくさんある」とコメント。浜地氏は「私たちが持つ不動産の中には、完全に立て替えて大きなものに付け替える一方で、まだ使えるアセットもある。うまく利活用していこうと思う。すでに勉強会などは実施しており、企画力、アイデア力を強く感じる。リノベるとであれば目指す方向が実現できると思う」とした。
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