パナソニックが映像と照明を使って空間演出を変えようとしている。7月には、天窓を人工的に再現する「天窓照明」を発表。スポットライト型プロジェクター「Space Player(スペースプレーヤー)」とあわせて、窓のない場所でも木漏れ日や風にそよぐ葉などを映し出す。
手がけたのはパナソニック ライフソリューションズ社。照明器具のほか、分電盤や配線器具を扱うエナジーシステム事業部などを展開している。天窓照明は新事業としてスタート。ライティング事業部のライティング機器ビジネスユニットと新事業推進部が手を組み開発した。現在、50台限定でBtoB向けに販売している。システム価格は400万円〜。
埋込型照明器具と映像再生機で構成し、映像再生機からの信号を、SDI信号に変換し、複数台の機器に分配することで、青空や夕焼け、夜空などの映像を再生する仕組み。映像再生機とSDI変換機はバッグヤードに置くことで、あたかも天井に窓がついたような自然な演出を楽しめる。
オプションとして、スポットライト型プロジェクターのスペースプレーヤー、スピーカー付きダウンライト、エアーカーテンなどが用意されており、組み合わせることで音や風、光を感じる、よりリアルな演出が可能。天窓の下に光りが透過して映し出されたような木漏れ日や夕焼けはスペースプレーヤーを使って床に投写することで表現。各機器は同期されており、風にそよぐ葉が映し出されると、動いた影をスペースプレーヤー、吹き抜ける風をエアーカーテン、風の音をスピーカー付きダウンライトが再現する。
天窓照明部分は、LEDディスプレイと反射板ユニットを内蔵し、器具埋込深さは約350mm。大型の埋込照明器具と同様に施工できるとのこと。現在は受注生産という形で対応しており、設置場所は一度下見をした上で調整し、設置には1〜2日程度としている。
照明機器の代わりとして使用することはできず、サイネージ的役割とのこと。プロジェクターのように写すだす映像によって、全く違う雰囲気を味わえることが特徴で、本体には青空、夕焼け雲、おぼろ月の映像コンテンツを標準で装備。別売オプションとして水面、竹林、サメ、川のコンテンツが用意されている。
コンテンツは立体感を重視して制作されており、2つある天窓照明それぞれに別の映像を表示。雲が流れ行く様子が2つの天窓照明を通じて表現したり、1つの天窓照明だけに月が浮かび上がったりすることで、窓としてのリアル感を再現できるとしている。
パナソニックでは、空間演出を体感できる場として、東京・品川に「スペースプレーヤーラボ」を開設。天窓照明のほか、スペースプレーヤーなど、約50台のプロジェクターや照明器具を備え、体感できるスペースを整える。BtoB向けの商談の場として活用されており、現在は年間約2000人が来場。天窓照明の各コンテンツを体感できるほか、エントランス、カフェスペース、キッズスペース、和スペース、シミュレーションルームなどをそろえ、各スペースで最新の空間演出を体感できる。
天窓照明は2月の段階から導入されており、施設内で来場者の反応を見ながら7月の開発発表に結びついたとのこと。完全予約制になっており、ウェブサイトからの予約も可能だ。
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