Arm Treasure Dataは10月15日、上下水道管も電線もないところでも暮らせることをコンセプトにした、オフグリッド型コネクテッド住宅「OUTPOST」を発表した。2030年をメドに供給開始を目指す。
英Armの日本法人であるトレジャーデータがデータマネジメントプラットフォームを提供し、エムテドがデザインなどを担当。VRをはじめとする総合開発支援は日南が請け負う。加えて、下記の企業が参画しており、各社の得意分野を持ち寄り、開発をすすめる考えだ。
OUTPOSTはコンテナ型の住居で、居住地へ輸送すれば即時に入居可能なユニット仕様。ガスや電気、水といった既存のライフラインに依存せずに独立設置できることをコンセプトにしている。住宅の内部は5Gをベースとしたネットワークでつながり、データを活用することでメンテナンスして、暮らせる形を目指す。電気は風力や太陽光発電などの使用を想定するほか、水はフィルタリングして再利用を促すなどの仕組みをイメージしているという。
CEATEC 2019に出展しており、ブース内でコンセプトモデルを展示。道路で輸送できるコンテナのサイズをベースにしており、その中にベッドルーム、キッチン、シャワールーム、パウダールーム、トイレなどが配置されている。キッチン部分には、可動できるテーブルを採用することで、IHコンロが使用時だけ現れたり、テーブルにワイヤレス給電システムを内蔵することで、スマートフォンを置くだけで充電できたりするといった工夫が凝らされていた。
電力周りや水回りなどは、参画企業とコラボレーションしながら開発を進めていく計画。トレジャーデータ マーケティングディレクターの堀内健后氏は「今回CEATEC 2019に出展したのも、さらにプロジェクトメンバーを募りたかったため。加わってくれる人が増えれば、開発は格段に早くなるかもしれない」と出展理由を話した。現時点での参画企業はスタートアップが中心だが「デベロッパーやハウスメーカーといった大手企業とも会話している」(堀内氏)と、プロジェクトメンバーは広く募る考えだ。
宅内ではWi-Fiを通じてバイタルセンシングを取得するイメージで、住んでいる人の心拍や呼吸数がわかるほか、健康管理までを見据える。「例えば家電などのフィルター掃除は3カ月に一度など定期的に行われているが、その期間に海外に行っていたら、定期で掃除をする意味がない。AIを活用すれば、使用していないので、汚れていないというところまでを判断して適正な掃除ができるようになる」(エムテド 代表取締役の田子學氏)など、新たなエコシステムの構築を目指す。
会場内では、コンセプトモデルのほか、日南が制作したVRでも体験することが可能。日南 取締役デザイン本部長の猿渡義市氏は「今後は、プロトタイプの制作に入る。住むことが可能なレベルにまでもっていって実証実験などをやっていきたい」とした。
住居としての供給を想定しているが、多拠点生活などの暮らし方が進む中で、セカンドハウスとしてや、企業のコワーキングスペースなどの利用も考えているとのこと。価格については「通常の戸建ては数千万円するが、そのラインは割っていきたい。なるべく安くとは言え、コンテナを購入しても数百万円はするので、このレンジの中で考えていきたい」(堀内氏)とした。
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