近代コンピューティングの基礎を築き、第二次世界大戦中にナチスドイツの暗号「Enigma」を解読したことで知られる英国の数学者Alan Turing氏が、イングランド銀行の発行する新しい50ポンド紙幣の肖像になる。イングランド銀行総裁のMark Carney氏が現地時間7月15日、マンチェスターの科学産業博物館で明らかにした。この紙幣は2021年末から流通する予定だ。
「コンピューター科学と人工知能の父として、また戦争の英雄として、Alan Turing氏はさまざまな分野に貢献した草分け的な存在だ」とCarney氏は述べ、「真に偉大な人物であり、今や実に多くの人々がTuring氏の研究を土台として新たな成果を手にしている」と称えた。
Turing氏は、ブレッチリー・パークで行っていた暗号解読の仕事で大きな業績を残したことで知られる。2014年には、Turing氏を主人公とした映画「イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密」が公開された(同氏を演じたのは俳優のBenedict Cumberbatchさん)。
一方、Turing氏は英国立物理学研究所とマンチェスター大学で初期のコンピューター開発に大きな役割を果たした。さらに、機械は考えることができるのかという疑問も提起し、私たちが現在人工知能(AI)と呼んでいるものの概念を生み出した。
こうした研究成果にもかかわらず、同氏は同性愛者であることを理由に迫害され、1954年、青酸化合物を塗ったリンゴを食べて41歳で亡くなった。2014年、英国女王によって恩赦された。同性愛禁止法(現在は廃止)に違反したとして有罪判決を受けた男性を恩赦する法律は、Turing氏に敬意を表して、「Turing's Law」(チューリング法)と名付けられた。
50ポンド紙幣に印刷する人物の候補者には、Turing氏のほかに、Stephen Hawking氏やMary Anning氏、Paul Dirac氏、Rosalind Franklin氏、William Herschel氏、Caroline Herschel氏、Dorothy Hodgkin氏、 Ada Lovelace氏、Charles Babbage氏、James Clerk Maxwell氏、Srinivasa Ramanujan氏、Ernest Rutherford氏、Frederick Sanger氏がいた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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