小さなフットプリントは持続的な影響を残すことができる。6月に発表された研究論文で、機械学習(ML)の専門家チームは、個人が独自にカーボンフットプリントを削減するうえでどれほど人工知能(AI)ツールが有益かについて言及している。
ハーバード大学、マサチューセッツ工科大学(MIT)、Google、Microsoftなどの専門家がまとめた論文は、交通機関から市全体に至るまでの大規模な組織がエネルギー消費や温室効果ガス(GHG)を削減できる、MLを活用したソリューションについて記述している。さらに、個人では地球のGHG排出に大きく貢献できないという考えを否定し、2020年から2050年の間に地球のGHG排出量を20~37%削減するために一般の人々がどのような対策を講じられるかについてのセクションも含んでいる。
例えば、この論文にはいかにMLが電子メールから抽出されたフライト情報やスーパーマーケットの請求書に記載されている食料品などから個人のカーボンフットプリントを予測できるかが記されている。これにより消費者は、自分のどの習慣が最も高いGHG排出につながるかを特定し、その削減策を講じることができる。
家庭の観点から考えると、MLを利用して、消費電力が大きい電化製品による影響がいかに重大であるかを予測できる。電化製品は使用されていない時でも電力を要すると論文は指摘している。
プライバシーに配慮した代替案として、論文では個人のGHG排出量の推定値を食料品のラベルやフライトチケット購入のインターフェースに表示することも可能だと記している。
「これらのツールを開発する企業には、消費者にどのようなデータが必要かを非常に分かりやすくする責任がある」と、論文をまとめた一員であるペンシルバニア大学のリサーチフェローのDavid Rolnick氏は述べた。
研究者らによる共同の取り組みが行われる中、複数の大手企業や都市がカーボンフットプリントを削減しようと試みている。多国籍企業LGエレクトロニクスは5月、2030年までに全世界の事業でCO2ネット排出量ゼロを達成するという構想を発表した。同様に、自動車ブランドのVolkswagenは6月、ノルウェーにカーボンニュートラル(CO2排出量と吸収量が等しい状態)なデータセンターを開設すると発表した。
この論文の研究者らに追加のコメントを求めたがすぐには回答を得られなかった。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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