LINEは6月27日、年に一度の大規模カンファレンス「LINE CONFERENCE 2019」を開催した。LINE CONFERENCEでは、複数の新サービスとともに、LINEが向かう今後の方向性などを発表する。
イベント冒頭では、LINE CONFERENCE初登壇となる、LINE 代表取締役Chief WOW Officer(CWO)の慎ジュンホ氏が登場。同社代表取締役CEOの出澤剛氏と共に、LINEが目指す世界観ついて説明した。
慎氏ははじめに、「LINEは、イノベーションを起こしてユーザーに感動を与える『WOW』を最優先にしている」と説明。ライフスタイルへの貢献や、影響を与えるイノベーション、さらにユーザーの生活や社会を変えることを目指しているという。そして、LINEにおいてWOWに責任を持つ役職が、自身の肩書きである「CWO」だと解説した。
慎氏は、LINEが目指す世界観について、「朝目覚めてから就寝までのさまざまな場面でユーザーに寄り添う『Life on LINE』だ」と宣言。この世界観を実現するために、特に注力している3領域について語った。
まず1つ目は「オフライン」だ。「オフラインに対応しなければ、Life on LINEにならない」と述べた慎氏。従来はOnline to Offline(O2O)として、LINEショッピングなどさまざまなサービスを提供してきたLINEだが、慎氏は「O2OだけではLife on LINEの全てを解決できない」とした。
そのO2Oの限界を超える概念として慎氏が説明したのが、オンラインとオフラインを融合させた「Online Merges with Offline」(OMO)だ。そして、その概念を実現するために開発したプラットフォームとして、「LINE Mini app」を発表した。
LINE Mini appは、LINEの中で簡単にミニアプリを制作できるプラットフォーム。従来では構築にある程度の技術が要求されたウェブページやアプリを、初心者でも簡単に製作できる。ユーザー側にとっても、これまで店舗ごとに会員登録の必要があったわずらわしさから開放されるという。
慎氏が2つ目に挙げたのはFintech。「お金は日常生活で重要なものの1つ。これを根本的にアップグレードしなければ、Life on LINEは不完全なものになる」と語った慎氏。日本の銀行は24時間営業できず、都度手数料が必要で、店頭での手続きを求められることも多い。また、日本では未だ現金主義で、大量の現金を持ち歩く必要がある。
これらの課題の解決として、慎氏は「LINEはシームレスなお金の流れを目指す」と宣言。それに向け、LINE Payでキャッシュレス決済の普及に向けた施策を実施したほか、スマホだけで完結する銀行の実現を、日本、台湾、タイ、インドネシアの4か国で並行的に目指していると、さまざまな取り組みを紹介した。
さらに慎氏は、ブロックチェーンにも言及。次世代のお金を考える上で、選択肢の一つとして取り組むとし、「数年を要するかもしれないが、次世代の手段を用意し、未来に向けた準備とする」と語った。
最後に挙げたのがAIだ。「LINEは多くのサービスを展開しているが、それらを適切なタイミングで提供できたのはAIのおかげ」と説明した慎氏。そして、「5年後、あるいは10年後、IT企業はAI技術を準備できた企業と、できなかった企業の2つにわかれる」と語った。
そして、慎氏は「LINEはAIカンパニーだ」と宣言した。1000人規模のチームでAI研究開発を進め、日本では最大級、アジアでもトップクラスだという。
その成果として、慎氏はAIプラットフォーム「DUET」を発表。AIチャットボットと会話機能を持たせたもので、カスタマーサービスなどに導入が可能だ。デモ動画では、顧客と流ちょうな会話が可能なほか、当日の天気予報について触れるなど、生身の人間のような応対する様子を紹介した。慎氏は、「世界で初めて、AIが人と会話するカスタマーサービスの様子を紹介した」と説明。「LINE独自の技術で開発したDUETにより、AIと人が力を合わせたよりよい生活を目指す」と語った。
慎氏は、「今回発表した3分野によって、LINEはメッセンジャーを超えて、Life on LINEの実現に向かっている」とし、ユーザーの生活を24時間支えるライフインフラを目指すとの意気込みを示した。
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