Facebookのブロックチェーン製品担当バイスプレジデントのKevin Weil氏は、そのうち、Libraコインを使ってFacebookのフリマ機能である「Marketplace」で商品を購入したり、寄付をしたり、小売業者から商品を購入したりすることができるようになるだろう、と述べている。同氏によると、まだ開発中のウォレットは、今後Instagramのダイレクトメッセージにも統合されるかもしれないという。
「ウォレットの使い方とメッセージングアプリの使い方には重複する点がたくさんあるので、われわれにとってそれは理想的な最初の一歩になる」(Weil氏)
Facebookは、消費者や企業にLibraを使ってもらうため、インセンティブを提供する予定だ。Libraを使って取引を処理した企業は、Libraコインでキャッシュバックを受け取れるようになるかもしれない。早期に利用を開始したユーザーは、アカウントを設定したときや、友人を同アプリに紹介したときに、一定額のLibraコインを受け取れるようになるかもしれない。
海外送金する場合、従来の銀行の代わりにLibraを使うことで、手数料を節約できるかもしれない、とWeil氏は指摘する。同氏によると、送金手数料は1セント以下になる予定だという。参考までに、世界銀行によると、2018年、200ドルを送金した場合の手数料は平均で7%だったという。Calibraを使って送金できる金額に上限があるのかどうかは不明だ。
Calibraウォレットは、Libraを受け入れるほかのウォレットとも連携する。GoogleとYahooのように、異なるサービス間で電子メールを送信できるのと同じような仕組みだ。
「Libraのエコシステムのウォレット間には、それと同種の相互運用性がある」(Weil氏)
FacebookがLibraを直接管理するわけではない。その代わりに、同社はスイスに本部を置くLibra協会という非営利組織のメンバーになり、この組織がLibraを管理する。この協会には、PayPalやVisa、Uber、Coinbase、Andreessen Horowitz、Mercy Corpsなど、28の創設メンバーがいるが、2020年までに加盟組織を100まで増やしたい考えだ。
同協会のメンバーである企業やベンチャーキャピタル企業は少なくとも1000万ドル(約11億円)を投資する予定で、この資金は同協会の運営やLibraのインセンティブの財源となる。
各メンバーはノード、つまり送金を処理してLibraブロックチェーンを動かすサーバーを運営することになる。Libra協会評議会は各メンバーの代表者で構成され、各代表者が1票の投票権を有する。こうすることで、Libraに対するFacebookの影響力を制限している。
Facebookやパートナーらが仮想通貨取引額の一部を取得したり、ユーザーの金融データを広告のターゲティングに利用したりすることはない。しかし、支払いや送金をしやすくすることで、ユーザーを引き付けたりエンゲージメントを増やしたりする可能性はある。これは広告主にとっての魅力を高めることにもなる。Libraを利用する企業は、より多くの予算をFacebook広告に割くかもしれない。将来、Libra協会がさまざまな金融サービスを提供する可能性もある。
Facebookの仮想通貨事業を率いるDavid Marcus氏はLibraについて、初期にはとりわけ金融サービスへのアクセスを持たない人々の間で普及する可能性があると述べた。世界銀行のデータによると、世界で約17億人の成人がいまだに銀行口座を持っていない。
「ご存じのように、より多くのプレーヤー、より多くのサービス、多様な製品を抱える競争的で活気のある金融システムを持つことの効果により、さらに多くの人が集まることになるだろう」とMarcus氏は述べ、「ただし、時間はかかるだろう」とした。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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