国々が関税と貿易の協定について争っている最中、Bill Gates氏の妻で「Bill and Melinda Gates Foundation」を夫婦で運営するMelinda Gates氏と、Alibaba(アリババ)会長のJack Ma氏は、国際的な協力によってデジタルデバイド(情報格差)をなくせるという前向きな見通しを持っている。両氏の願いは、世界的な協力によって2030年までに全ての大人が手頃に「デジタルネットワーク」につながることができるようにすることだ。
この高尚な目標は、米国時間6月10日に発表された国際連合(UN)の「The Age of Digital Interdependence Report」(デジタルな相互依存の時代の報告書)の一環だ。Gates氏とMa氏、António Guterres国連事務総長は10日、公開討論会でこの報告書の調査結果について討議した。
この報告書は、データのプライバシー問題や米国と中国の対立がニュースの見出しを賑わせている最中に発表された。近年、データ流出や5Gの競争、人工知能(AI)について議論されているにもかかわらず、国連の討論会は世界人口の約半数しか依然としてインターネットにアクセスできていないというそれほど議論されていない事実に特に関心を向けた。
Gates氏とMa氏は、インターネット上のインクルーシブ性(包括性)の討議に多くの時間を割いた。両氏は恵まれない人々が世界経済に関与することを確実にするうえでインターネット接続がかぎになると述べた。インターネットアクセスによって、農業従事者や小規模な企業家が外部の買い手とつながることが可能になる。例えば、農村の売り主がリアルタイムの市場データを調べて自分の商品に競争力のある価格を設定できる可能性もある。
「発展途上国や社会の主流から取り残された地域は、これらの技術の使い方を決めるうえで発言権を持たなければならない。そうすれば、問題を助長してしまうのではなく、デジタル技術が新たな解決策を生み出すことを保証できる」とGates氏は述べた。
Gates氏がインターネットアクセスがいかに社会から取り残されている女性らに力を与えるかについても言及する一方で、Ma氏はいかにインターネットによって発展途上国の人々が他国の安定した市場で販売できるようになるかについて説明した。
「今日では、人々がインターネットを使えるようにしなければ、それはかつて電気を使えるようにしていなかった時代よりも深刻だ」とMa氏は述べた。
AIの出現によって失業の不安が増している時代に、討論者らは自律技術への期待についても言及した。
企業は自社のAI技術がエンジニアリングと倫理の両方の基準に従っていることを確実にすべきだと、討論者らは報告書で述べている。
「監査や認証制度によって、AIシステムがエンジニアリングと倫理の基準を順守していることを監視すべきだ。それらの基準はマルチステークホルダーならびに多面的なアプローチを利用して策定されるべきだ」と報告書に記されている。
報告書の作成を依頼したGuterres事務総長は、この提言に満足している。
「この報告書は、いかにしてわれわれがあらゆる人のためにデジタル時代を変革できるかという真剣な論議を世界的に始めるための素晴らしい手段だ」と同事務総長は述べた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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